LiviumとLGES、オーストラリアでのバッテリーリサイクル契約を延長

livium and lg energy solution


オーストラリアのバッテリーリサイクル企業であるLiviumは、韓国のバッテリー製造業者LGエナジーソリューションズ(LGES)と2024年に結んだ契約を延長・拡大することを発表しました。この新たな契約は、リコールされた住宅用リチウムイオンバッテリーと廃棄されたバッテリーを黒い金属(ブラックマス)に加工する内容で、2029年まで続く予定です。


LiviumとLGESの新たな契約内容

LiviumとLGESの新契約は、これまでオーストラリアでリコールされたバッテリーに限定されていたものから、オーストラリア国内の廃棄バッテリーも対象に拡大されました。2024年の契約が終了する2027年を過ぎ、さらに2029年まで続く新契約は、バッテリーのリサイクル業務において重要な転機を迎えるものと考えられます。LiviumのCEOであるサイモン・リンジ氏は、「LGESは、この契約で生産されたブラックマスを市場価格で購入できる権利を持つが、まだ実際には購入していない」と語りました。

また、Liviumはこのブラックマスを南韓のバッテリーリサイクル業者であるSungEel Hitechに販売し、同社はそれを化学物質に変換し、バッテリー製造業者に供給しています。Liviumは、2024-2025年度の間に350トン以上のブラックマスを販売し、今後2025-2026年度には、LGESとの契約拡大に伴い、さらなる販売増加を見込んでいます。


LGESの新たなバッテリーリサイクル計画

LiviumとLGESの新契約は、LGESが進めるバッテリーリサイクル事業の一環として重要な役割を果たします。LGESはフランスに年20,000トンのバッテリーリサイクル工場を建設する計画を発表しており、フランスのリサイクル業者Derichebourgとの共同事業を通じて、2027年から欧州の廃棄バッテリーを使用してブラックマスを生産・処理する予定です。これにより、LGESは自社のバッテリー製造に必要なリサイクル素材を確保することを目指しています。

さらに、Liviumはスボジュメン廃棄物からリチウムを回収する技術も持っており、オーストラリアの鉱業企業Mineral Resourcesとの提携を強化し、リチウム抽出技術の最適化に向けた技術開発を進めています。


バッテリーリサイクル市場における影響

LiviumとLGESの新たな契約は、今後のバッテリーリサイクル市場に大きな影響を与えると予想されています。リサイクルの拡大により、リチウムやコバルト、ニッケルなどの重要鉱物の供給が安定し、電動車(EV)や再生可能エネルギーシステムの普及に伴う需要増に対応することができます。加えて、廃棄バッテリーのリサイクルが進むことで、環境負荷を低減する取り組みも強化され、サステナビリティがさらに重要な要素となります。

また、Liviumは他のリサイクル業者との提携を強化し、ブラックマスの市場をさらに拡大する可能性があります。これにより、リサイクルされた素材を使用するバッテリー製造業者の選択肢が広がり、供給チェーン全体の効率が向上するでしょう。


金属フォーカス 編集部コメント

LiviumとLGESの契約拡大は、バッテリーリサイクル市場の重要な進展を示しています。リサイクル技術の進化とともに、電動車や再生可能エネルギーの需要増に対応するための安定した供給網が確立されつつあります。今後、バッテリーリサイクル市場がますます重要な役割を果たし、業界全体のサステナビリティ向上に寄与することが期待されます。


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