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| JSW Budryk mine |
欧州最大の原料炭生産者JSWが操業効率と安全性を両立した新長壁採掘を開始
ポーランドを拠点とするJastrzębska Spółka Węglowa(JSW)は、同国南部のブドリク炭鉱(Budryk mine)において、新たな長壁採掘(longwall)セクション「A-1」の稼働を正式に開始しました。新たな採掘対象区域405/1におけるA区画の推定埋蔵量は570万トン超。高品質な**原料炭(コークス炭)**を安定的に供給する拠点として、JSWの中長期的戦略における要所となります。
A-1長壁の初期稼働分には、26万トンを超える原料炭資源があり、採掘幅170m、長さ約400m、厚さは3m以上に達します。これは、ヨーロッパ域内における原料炭供給の安定性を左右する規模です。
最新技術による安全性と効率の両立
JSWは本稼働に際して、BW-JZR 13/37 W2型の機械化支保工セクションやPSJZR-850型の壁面コンベヤ、PZP Kobraビームローダー式輸送システム、そしてKD BW 800-1200型破砕機といった、最先端の技術機器を導入しました。採掘作業は、Eickhoff社製のSL 300せん断機により行われます。
これにより、採掘の効率向上と安全性の強化を同時に達成しています。JSWのアダム・ロズムス副社長(技術・運営担当)は、「今回の長壁稼働は、ブドリク炭鉱のみならず、JSW全体の操業持続性にとっても大きな節目となる」と述べ、将来的には隣接する405/2区域の開発計画も示唆しました。
ベンチマークとなる換気ネットワーク接続
この新規稼働には、ブドリクとアニオウキ(Aniołki)炭鉱、クヌルフ=シュチグウォヴィツェ(Knurów-Szczygłowice)シャフト間の換気ネットワーク接続が重要な準備要素として含まれていました。これにより、地下環境の安定性と作業者の安全性が確保され、長期的な操業体制を実現しています。
加えて、今月初旬には405/2区域において、推定埋蔵量160万トン以上を有するBw-1長壁の稼働も開始されており、ブドリク炭鉱は現在、複数の戦略的採掘セクションが同時進行で稼働中です。
金属フォーカス 編集部コメント
JSWの新長壁採掘の連続稼働は、欧州域内の原料炭供給リスク分散と、製鉄業界への安定供給に直結します。また、同社は10月11日に大規模な経営再編の準備開始を発表しており、本鉱区の拡張は財務的自立性回復の一環とも言えるでしょう。今後の405/2開発と合わせて、同社の操業戦略に注目が集まります。


