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| Egypt CBAM |
エジプトは排出削減とグリーン投資誘致を推進中
エジプト計画大臣ラニア・アル=マシャート氏は、ブリュッセルでEU環境・水・循環経済担当委員ジェシカ・ロスヴァル氏と会談し、国境炭素調整メカニズム(CBAM)の実施に関する意見交換を行いました。この会談はグローバルゲートウェイフォーラムの枠組み内で行われ、エジプト政府がCBAMに対応しつつ輸出競争力強化や産業エネルギー効率向上、グリーントランスフォーメーションを推進していることが議題となりました。
アル=マシャート大臣はEUとの長期的な経済パートナーシップを強調し、新たな国家経済戦略が生産部門を重視しながらCBAMの輸出影響緩和策も盛り込んでいると述べました。さらに、同省は国際機関と連携し技術支援や助成金、優遇融資を獲得して排出削減とグリーン経済支援を推進しています。特に「グリーンサステナブル産業(GSI)」プログラムでは、すでに2億7,100万ユーロが工業汚染削減、再生可能エネルギー開発、持続可能な製造手法導入に投入されています。
また、大臣は欧州復興開発銀行(EBRD)やグリーン気候基金(GCF)との協力にも言及し、これらが民間セクター向けの助成金や優遇融資獲得を支援していることを示しました。これによりエジプトはEUのグリーンエネルギー分野における戦略的パートナーとしての地位を強化し、輸出競争力を高めています。
加えて、水・食料・エネルギー分野への気候投資を動員する国家プラットフォーム「NWFE」が紹介され、2050年までの気候変動戦略の加速が期待されています。
なお、エジプト政府は最近、冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、塗装鋼板・コイルの国内生産拡大を支援するインセンティブパッケージを発表しました。このパッケージは、プロジェクトの完成期間短縮、初期費用削減、投資リスク軽減を目的としています。
金属フォーカス 編集部コメント
エジプトのCBAM対応とグリーントランスフォーメーションは、輸出競争力強化と持続可能な産業発展を両立させる重要なモデルです。特にEUとの連携強化は、地政学的にも経済面でもエジプトの戦略的価値を高めるでしょう。今後も同国の環境技術導入と政策動向が、地域の鉱物・金属市場に大きな影響を与えると考えられます。


