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銅価格は、世界有数の鉱山会社が保守的な生産予測を発表したことを受けて、ほぼ2%上昇しました。今年は世界的な供給問題や鉱山の生産停止が相次いでおり、銅市場は厳しい状況に直面しています。特に、チリのエル・テニエンテ鉱山やインドネシアのグラスバーグ鉱山での重大な事故が相次いだことで、供給への懸念が高まり、価格が急騰しました。ゴールドマン・サックスは今後の市場に対して強気の見通しを示しています。
銅価格の急騰と供給問題
2023年の銅価格は、世界的な鉱山の生産停止や問題によって20%以上も上昇しました。ロンドン金属取引所(LME)では、銅価格は最大で1.7%上昇し、トンあたり10,800ドルを超えました。一方、COMEXでは、3ヶ月先物契約が1.9%上昇し、ポンドあたり5.10ドル(約11,250ドル/トン)となりました。この価格上昇は、銅が再生可能エネルギー、電子機器、建設など多くの産業で使用される金属であるため、供給不安が価格をさらに押し上げていることが背景にあります。
特にチリのエル・テニエンテ鉱山とインドネシアのグラスバーグ鉱山での生産問題が、供給リスクを拡大させました。エル・テニエンテ鉱山は世界最大の地下鉱山であり、その稼働に問題が発生したことで、市場はさらに不安定になりました。
チリのアンフォガスタ鉱業が示した予測とゴールドマン・サックスの強気見通し
チリの大手銅生産会社であるアンフォガスタ鉱業は、2025年の生産目標の下限に達する見込みであると発表し、来年の生産予測もアナリストの予想を下回る可能性があると警告しました。この発表は、鉱山業界の生産不安をさらに加速させ、銅市場における供給リスクを強調しています。
ゴールドマン・サックスは、銅の価格が今後数ヶ月で過去最高値に再度挑戦する可能性があると強気の見通しを発表しました。同銀行は、LMEウィークの会議中に関係者と話し合った結果、銅の価格が10,900ドルを超えると、一部の投資家がポジションを増やす意向を示していると伝えています。この強気予測は、アメリカ合衆国の銅輸入関税が引き起こした巨大なアービトラージ(価格差)機会にも後押しされています。
銅市場のアービトラージと供給の逼迫
ゴールドマン・サックスのアナリストによると、現在、アメリカの銅先物はロンドンのLME価格を上回るプレミアムで取引されており、銅はアメリカ市場に流入しています。この状況が、アメリカ市場における物理的な銅の供給に緊迫感をもたらし、価格がさらに上昇するリスクを生んでいると述べています。
ゴールドマン・サックスは、LMEの銅価格予測レンジ(10,000~11,000ドル/トン)に対して、短期的に強気のリスクが存在することを指摘しました。このような状況では、物理的な市場における供給不足が顕著になり、価格にポジティブな影響を与える可能性が高いとしています。
鋼の亜鉛市場における圧迫と中国の影響
一方で、亜鉛市場はLMEで在庫が減少し、歴史的な供給圧迫に直面しています。しかし、ゴールドマン・サックスは、中国からの亜鉛輸出がこれを補うと予測しており、世界的な供給バランスが再調整されると見ています。
金属フォーカス 編集部コメント
銅価格の急騰は、供給不安や生産問題が一因となっていますが、ゴールドマン・サックスの予測に見るように、投資家は今後の価格上昇に対して強気の姿勢を見せています。銅は再生可能エネルギーや電子機器など多岐にわたる用途があり、今後の価格動向は業界全体に大きな影響を与えるでしょう。


