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| Tía María mine |
南米ペルーのティア・マリア鉱山プロジェクトは、**南部銅(Southern Copper)**が18億ドルを投じる計画として、長年の政治的・社会的な遅延を乗り越えて遂に進展を迎えました。**ペルー鉱山エネルギー省(Minem)**は、ティア・マリア鉱山の開発ライセンスを承認し、このプロジェクトが本格的に始動する準備が整いました。
ティア・マリア鉱山はペルーのアレキパ州のイスラ地域に位置しており、ペルーの鉱業セクターの自信を再燃させ、国内で停滞していた他の鉱山開発にも良い影響を与えると期待されています。特に、ティア・マリア鉱山は環境問題や地元住民の反対により、過去に長年にわたりプロジェクトが遅延していました。しかし、今回の承認により、鉱山開発が再開されることになりました。
長年の遅延を経て進展したティア・マリア鉱山プロジェクト
ティア・マリア鉱山のプロジェクトは、2011年から2015年にかけて地元住民の反対運動により停滞しており、その間に6人の死者が出るなど、社会的不安が続きました。この間、政府は鉱山の開発を一時的に停止しましたが、2019年には鉱山の開発を承認しました。しかし、進捗は地元の社会的安定の回復に依存していたため、実際の開発作業は2024年に入ってようやく再開されました。
ティア・マリア鉱山は現在、総工事の25%が完了しており、主に付帯施設と処理プラントに進展が見られます。最初の建設フェーズ、アクセス道路やプラットフォームの整備は2023年7月時点で90%が完了しています。これにより、南部銅は今後の生産開始に向けて順調に準備を進めています。
2026年に生産開始、ペルーの銅生産拡大へ
ティア・マリア鉱山は、2026年末または2027年初頭に生産を開始する予定です。年間12万トンの銅を生産する計画で、20年間にわたって安定的な生産が見込まれています。この生産量は、ペルーを世界第3位の銅生産国としての地位を強化するものとなるでしょう。
また、南部銅は2024年に414,000トンの銅を生産し、ペルー国内では2位の銅生産者となっています。しかし、ペルー全体の鉱山開発は環境や社会的課題によって厳しい状況が続いており、ペルー経済にとって重要な銅の生産能力が十分に活用されていない現実もあります。**ペルー経済研究所(IPE)**によると、ペルーの未開発銅生産能力の約31%、すなわち年間180万トン相当の生産が、環境問題や社会的・ガバナンス上の課題により「市場外」となっているとのことです。
非合法鉱山開発による影響と課題
現在、ペルーには数多くの未開発の銅鉱山プロジェクトがある一方で、非合法な鉱山開発がその進展を妨げています。南部銅のミチキジャイやロス・チャンカス鉱山、ファースト・クアンタムのハキラ鉱山プロジェクトも影響を受けています。IPEは、ペルーにおける違法金鉱採掘の輸出額が2025年には120億ドルに達すると予測しており、これはペルーの鉱業発展にとって深刻なリスク要因となっています。
金属フォーカス 編集部コメント
ティア・マリア鉱山プロジェクトの進展は、ペルーの鉱業セクターの再生に向けた重要なステップです。特に、環境問題や社会的不安を乗り越えた後の開発再開は、他の停滞している鉱山プロジェクトにも良い影響を与える可能性があります。しかし、違法鉱山採掘や地域の社会的課題が依然としてペルーの鉱業発展における障壁となっており、今後も慎重な対応が求められるでしょう。


