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| Stibnite hill mine antimony |
米国アンチモニー社(United States Antimony Corp., NYSE-A: UAMY)は、モンタナ州の旧スティブナイトヒル鉱山にて採掘および大量試料採取を開始しました。環境品質局(DEQ)からの許認可を得て、同社は初めて自社鉱山からの原料を同州トンプソンフォールズの製錬所で処理します。この動きにより、米国アンチモニー社は鉱山から製品まで一貫したアンチモニー生産体制を確立しました。
モンタナ州スティブナイトヒル鉱山の採掘開始とその意義
スティブナイトヒル鉱山は、同社が所有する北米に2カ所のみ存在する製錬所の一つ、トンプソンフォールズ製錬所の隣接地に位置しています。製錬所は年間約1,500万ポンドのアンチモン酸化物、または500万ポンドの金属アンチモンの生産能力を持ち、現在さらなる生産能力拡大が進行中です。DEQの承認を得たことで、米国アンチモニー社はこれまで外部から調達していた鉱石を、自社鉱山の高品質な原料に置き換えることが可能になりました。試料採取の初期段階で得られた鉱石はフローテーションミルで処理され、冶金化学者による品質評価が行われています。
米国アンチモニー社の事業戦略と市場展望
ジョー・バードスウィッチ副社長兼最高採掘技師は、同社が約20年前に採掘したスティブナイトヒル周辺の鉱区を再取得し、今後の本格操業に向けた準備を進めていると述べています。モンタナ州での採掘開始は、同社にとって初の完全統合型アンチモニー生産の基盤となり、アラスカでの鉱山操業に先駆ける形となりました。一方で、株価は市場全体の下落に伴い10%超下落し、1株当たり10.95ドル、時価総額は約15.2億ドルに縮小しています。なお、米国防総省の防衛物流庁(DLA)から2億4,500万ドルのアンチモン金属インゴット供給契約を獲得しており、国家安全保障分野での需要も高まっています。
金属フォーカス 編集部コメント
今回のスティブナイトヒル鉱山操業開始は、北米におけるアンチモニーの安定供給体制強化に寄与します。国内製錬能力を活用した完全統合型モデルは、地政学的リスク回避やサプライチェーンの堅牢化に繋がるでしょう。今後の拡張計画と防衛関連需要の増加が、米国アンチモニー社の成長を後押しすると期待されます。


