オーストラリアのASM、レアアース金属の販売を強化

Australian Strategic Materials


オーストラリアのASM、レアアース金属販売を加速

オーストラリアのレアアース生産企業**Australian Strategic Materials(ASM)**は、2023年7月から9月の期間において、40トンのレアアース金属を出荷しました。前年同期には商業的な出荷はなかったため、この成長は著しいものです。ASMは韓国にある金属加工工場の稼働を強化し、金属合金の生産能力を大幅に拡張しました。


レアアース金属合金の生産能力拡張

ASMは、韓国の金属加工工場でのレアアース金属合金生産能力を、年間1,300トンから3,600トンに増強するための資金を完全に調達しています。また、2023年7月から9月にかけて、さらに5,600トン/年の生産能力拡大を計画し始めました。これにより、同社はグローバル市場での競争力を高め、レアアース金属供給の増加に対応する準備が整いました。


ネオジム鉄ホウ素の生産と出荷

7月から9月の期間に、ASMはネオジム鉄ホウ素金属を16.7トン生産し、そのうち13.9トンを顧客に出荷しました。これにより、同社は以前の2.4トン(4月から6月)に比べて出荷量を大幅に増加させました。ASMは、米国のNoveon Magneticsやドイツの**Vacuumschmelze(VAC)**といった顧客との取引を締結し、2025年に22.2トンの納品を予定しています。


ネオジム-プラセオジム金属の生産と販売

さらに、ASMはネオジム-プラセオジム金属を1.7トン生産し、既存の在庫を使って22.2トンを出荷しました。同社は、2023年10月から12月にかけて、この金属の生産量を14トンに増加させる予定です。ASMは、**Neo Performance Metals(カナダ)**とのパートナーシップを強化しており、今後、サプライチェーンと技術革新に関する契約を締結する計画があります。


重希土類金属の生産開始

2025年7月には、ASMはディスプロシウムおよびテルビウム金属の初回生産を行い、2キログラムずつをNeoに販売しました。2023年10月から12月にかけて、さらに13キログラムの重希土類金属を顧客に供給する予定です。


オーストラリアと米国の協力強化

ASMの金属加工工場の強化は、米国とオーストラリア政府が重要鉱物プロジェクトで協力を強化しているタイミングで進行しています。両国政府は、2023年10月20日に、次の6か月間でそれぞれ10億ドルを重要鉱物開発に投資すると発表しました。特に、レアアース鉱山や加工施設への投資が進む中、オーストラリアのレアアース開発企業であるArafura Rare EarthsやNorthern Minerals、VHMに対して、米国輸出入銀行が最大7億ドルの共同資金提供を決定しました。


金属フォーカス 編集部コメント

ASMのレアアース金属の生産と販売の増加は、グローバルな供給網における重要な転換点を示しています。特に、ネオジムやプラセオジム、重希土類金属の生産増強は、今後のエネルギー転換やハイテク産業における需要拡大に応える重要な施策です。さらに、オーストラリアと米国の協力強化は、両国の鉱物供給の安全性を高め、地政学的リスクに対応するための強力な後盾となるでしょう。

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