ワイオミング州のBrook鉱山でレアアース戦略備蓄を開始予定—Ramaco Resourcesの計画

Brook Mine


Ramaco Resources、ワイオミング州Brook鉱山でレアアース備蓄を予定

米国の石炭生産企業、Ramaco Resources(NASDAQ: METC)は、同社が運営するBrook鉱山(ワイオミング州)で、レアアース(REE)および重要鉱物の戦略的備蓄を設立する計画を発表しました。この備蓄は、民間および公共のニーズに対応し、エネルギー転換を支えるために不可欠なレアアースの供給確保を目指しています。


Brook鉱山の重要性と規模

Brook鉱山は、米国エネルギー省の国立エネルギー技術研究所(NETL)によると、北米最大の非従来型レアアース鉱床を保有しているとされています。この鉱山は、スカンジウム、ガリウム、ゲルマニウムといった重要鉱物を供給する、世界でも数少ない主要な鉱山の一つです。また、ディスプロシウムやテルビウムなどの重いレアアースも豊富に含まれており、これらは永磁石や先進的な防衛システムに欠かせない材料です。

Ramacoは、この鉱山のレアアースおよび重要鉱物の酸化物生産量を、当初の1,240トンから約3,400トンへとほぼ3倍に増加させる計画を承認しました。この増産は、石炭生産を年間500万トンに倍増させるという、同社の広範な成長戦略に基づいています。


米国の鉱物供給網強化と中国依存の低減

Ramacoのこの計画は、特に米国の鉱物供給網強化という戦略的な背景を持っています。近年、米国政府は、エネルギー転換を支えるために重要な鉱物の供給源を多様化し、特に中国に対する依存度を下げる努力を強化しています。中国は現在、レアアース精製や永久磁石の生産において約90%のシェアを持ち、また、リチウム、コバルト、グラファイト、ニッケル、銅などの金属においても支配的な地位を占めています。

このような背景の中で、Brook鉱山は米国内でのレアアース供給を確保するための重要な拠点となり、米国の鉱物供給網の独立性を高める役割を果たすことが期待されています。さらに、Brook鉱山は、MP Materials(カリフォルニア州のマウンテンパス鉱山)に続く70年ぶりの新たなレアアース鉱山として、米国での鉱山開発の新たな波を引き起こす可能性があります。


今後の展望と戦略的パートナーシップ

Ramacoは、Brook鉱山の鉱物加工施設の建設を計画しており、その初期投資額は約5億3,310万ドルに達する見込みです。この施設は、レアアース鉱物の精製を行い、年間の投資回収期間は約5年と予測されています。さらに、Ramacoは、鉱物加工の委託(トールミリング)サービスを提供する計画もあり、これにより、第三者生産者にも加工サービスを提供することができます。

戦略的パートナーシップの一環として、Ramacoは、鉱物構造および金融のアドバイザーと提携しており、下流の資本支出やオフテイク契約を確保することで、安定的なキャッシュフローを生み出すことを目指しています。


金属フォーカス 編集部コメント

米国におけるレアアースの生産体制強化は、エネルギー転換や防衛産業の発展に不可欠です。RamacoのBrook鉱山が供給する鉱物は、今後、米国内の鉱物供給網の重要な柱となるでしょう。特に、レアアースや重要鉱物の供給を自国で確保できることは、将来的な地政学的リスクにも対応する上で重要な意味を持ちます。

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