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| Cobalt |
西側諸国の重要鉱物サプライチェーン強化に逆風
米国国防総省は、最大5億ドル規模におよぶコバルト調達契約の入札を中止した。これは、米政府が国内の重要鉱物備蓄を再構築しようとする中で、調達面の課題が依然として残っていることを示す動きである。
国防兵站庁(DLA)は、今年8月に5年間で最大7,500トンの合金用コバルトを調達する契約の提案を募集し始めた。これは1990年以来初めての米政府による公式なコバルト購入計画だった。しかし、複数回の締切延期を経て、DLAは10月中旬に入札自体の中止を決定した。政府の公示によれば、「業務説明書(Statement of Work)に未解決の問題が存在する」とされ、今後、条件が整い次第、再度入札が行われる見通しだ。
コバルト供給網の地政学リスクと価格の急騰
米国がコバルト調達を急いだ背景には、中国依存の低減と資源ナショナリズムへの対応がある。コバルトは、EV(電気自動車)や航空・軍需産業向けバッテリーに不可欠な金属であり、磁石、弾薬、ジェットエンジンなど幅広い用途を持つ。現在、世界のコバルト供給の約75%はコンゴ民主共和国(DRC)に依存しており、その精錬工程の多くを中国が担っている。
特に、DRCが導入した輸出規制の影響で、2025年初頭にはコバルト価格が急騰。Fastmarketsのデータによると、2月の輸出停止以降、ベンチマーク価格は倍増した。これにより、コバルトは一時、1ポンド10ドルを下回った水準から歴史的な高値圏へと回復した。
サプライヤー選定と価格交渉の難航
今回の入札では、DLAは3社の精錬事業者に対して提案を要請していた:
- カナダのVale SA傘下の精錬施設
- 日本の住友金属鉱山株式会社
- ノルウェーのGlencore Plc傘下のNikkelverk工場
契約条件は、5年間にわたる固定価格契約であり、変動性の高いコバルト市場においてはリスクの高い設定だったと考えられる。加えて、9月にはValeの一部製品が対象外とされる修正も入り、調達プロセスは複雑化していた。
金属フォーカス 編集部コメント
米国による今回の調達中止は、単なる官僚的遅延にとどまらず、西側諸国が直面する資源確保の実務的困難さを浮き彫りにした。今後は、官民連携による長期的なサプライチェーン再構築と、DRC・中国への依存リスクに対処する包括的政策が一層求められるだろう。


