![]() |
Thacker Pass lithium project |
米国最大のリチウム鉱山として注目を集めるThacker Passリチウム鉱山をめぐり、トランプ政権は開発企業リチウム・アメリカズ(Lithium Americas)への10%出資を要求しています。この動きは、同社に対する米エネルギー省の22億6000万ドル融資の条件再交渉の一環であり、米国の重要鉱物政策における国家関与の新たな段階を示唆しています。
国家主導によるリチウム供給網の確立を目指す
ネバダ州で建設中のThacker Passリチウム鉱山は、2028年の操業開始を目指しており、稼働後は年間4万トンの電池品質リチウム炭酸塩を生産予定です。これは80万台分のEV電池に相当し、米国のリチウム供給自立に大きく貢献します。
同プロジェクトはすでにゼネラル・モーターズ(GM)から6億2500万ドルの出資を受けており、GMは第一段階でのリチウム全量、第二段階での一部を20年間購入する契約を結んでいます。トランプ政権はこの契約内容の一部見直しも要求し、より確実な国内供給保証を確保しようとしています。
政府出資を含む条件再交渉と市場の反応
今回の融資再交渉では、ローンプログラムの元金返済時期の変更も議題となっており、リチウム・アメリカズは無償ワラント(株式取得権)による政府持分5〜10%の提供を提案しました。これにより、融資条件の変更に伴う費用も同社が負担する構えです。
一方で、トランプ政権はGMに対してプロジェクトの一部管理権限を放棄し、政府に移譲するよう要求しています。これは、地政学的なリスク回避と国家的資源確保の観点からの措置と考えられます。
報道を受けて、リチウム・アメリカズの株価は一時80%以上上昇し、投資家の関心の高さを示しました。
金属フォーカス 編集部コメント
Thacker Passリチウム鉱山への政府関与強化は、リチウムの地政学的価値の高まりと、中国依存脱却を目指す米国の明確な戦略転換を表しています。今後、他の重要鉱物プロジェクトにも同様の政府介入が広がる可能性があり、投資・供給網構築の観点から注視が必要です。