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Kwinana lithium hydroxide refinery |
オーストラリアのリチウム生産大手IGO社は、中国の天斉鋰業(Tianqi Lithium)と協議を進めています。両社は、共同事業である西オーストラリア州のクイナナ水酸化リチウム精製所の将来について話し合っています。IGO社は、2024年7月〜2025年6月の会計年度に9億5,500万豪ドル(約6億2,200万ドル)の損失を計上しました。同社は、年間生産能力2万4,000トンのこの精製事業で、持続的な収益を達成することは難しいと考えています。この協議は、世界のリチウム市場の動向を反映しています。
豪州クイナナ精製所が直面する課題
クイナナ精製所は、2024年度に2,870万豪ドルの赤字を計上しました。さらに、2025年4月〜6月期には設備故障も発生し、稼働率が設計能力を下回りました。IGO社は、この精製所の操業から撤退する可能性を含め、複数の選択肢を天斉鋰業と検討しています。天斉鋰業は、合弁会社Tianqi Lithium Energy Australia(TLEA)を通じて精製所の51%を所有しています。IGO社は、保有する49%の株式をすでに全額減損処理しました。
精製事業の縮小と鉱山拡張への注力
TLEAは、クイナナ精製所の拡張計画を既に停止しています。一方で、両社は精製所の生産能力を段階的に引き上げる計画です。2025年度には、水酸化リチウムの生産量を前年度の6,782トンから9,000〜1万1,000トンへ増やすことを目指します。加えて、合弁事業はグリーンブッシュ鉱山での新たな処理プラント建設に注力します。この拡張により、スポジュメンの年間生産能力は150万トンから200万トンに向上します。スポジュメンはリチウムの重要な原料です。
金属フォーカス 編集部コメント
今回の協議は、リチウム価格の急落が精製事業に与える深刻な影響を示しています。精製事業は巨額の設備投資を必要とします。そのため、収益性が低迷すると事業継続が困難になります。今後は、コスト競争力を持つ優良な鉱山開発に業界の焦点が移るでしょう。