米国商務省が耐食性鋼材(CORE)に対するAD・CVD最終税率を確定:ベトナムとブラジルに深刻な影響

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米国商務省は、**耐食性鋼材(CORE)**に対するAD(アンチダンピング)およびCVD(相殺関税)の最終税率を発表しました。この決定は、世界の鉄鋼市場に大きな影響を与えています。ベトナムとブラジルの生産者は、特に高い関税率を課されました。これにより、米国市場への輸出は事実上困難になっています。この措置は、腐食に強い特性を持つ亜鉛メッキ鋼板やガルバリウム鋼板など、**耐食性鋼材(CORE)**の取引に直接的な影響を与えます。


ベトナムとブラジルの生産者が受けた衝撃

米国商務省は、ベトナムの**耐食性鋼材(CORE)に対し、会社別に88.98%から110.21%のAD税率を課しました。CVD税率は0.03%から1.29%です。ブラジルは、AD税率が27.45%から137.76%、CVD税率が4.49%から17.09%に決定しました。米国市場に耐食性鋼材(CORE)**を輸出していた両国の企業は、今後の事業戦略の見直しを迫られています。特にベトナムのHoa Sen GroupやTon Dong A Corporation、ブラジルのCompanhia Siderúrgica Nacionalなどは、大きな打撃を受けます。


課税決定後の市場の動きと今後の展望

今回のAD・CVD最終税率決定後、米国向けの輸出はすでに大幅に減少しています。ベトナムからの熱延亜鉛メッキ鋼板(HDG)の輸出量は、2024年9月には62,188トンでしたが、2025年1月から7月にかけてわずか896トンにまで落ち込みました。ブラジルやメキシコからの輸出も同様に減少しています。一方で、トルコ、カナダ、メキシコ、アラブ首長国連邦(UAE)の生産者は比較的低い税率に留まり、米国市場での競争優位性を獲得する可能性があります。今後の米国市場は、国内生産能力の増加と需要の軟化により、価格圧力に直面するかもしれません。


金属フォーカス 編集部コメント

今回の米国の決定は、単一市場への過度な依存が持つリスクを改めて浮き彫りにしました。高関税が課された国々の生産者は、代替市場の開拓を加速させるでしょう。一方で、この措置は米国内生産者を保護する意図があります。しかし、最終的な価格への影響は、国内需要の動向に大きく左右されるでしょう。


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