イルカ・リソーシズ、カタビー鉱山の一時休止でジルコン・ルチル市場に変化の兆し

Cataby mine


オーストラリアの重鉱物生産大手、イルカ・リソーシズは、顔料需要の低迷を受け、西オーストラリア州のカタビー鉱山合成ルチルキルン2(SR2)の生産を12月1日から一時休止すると発表しました。カタビー鉱山の採掘は1年間、SR2の生産は6ヶ月間停止されます。この決定は、高金利やマクロ経済の不確実性、地政学的な問題が顔料市場に与える影響の大きさを物語っています。


ルチル需要低迷が重鉱物市場に与える影響

イルカ・リソーシズは、年間22万5,000トンの合成ルチルを生産するSR2の稼働を一時停止します。また、年間平均で合成ルチル20万トン、ジルコン5万トン、ルチル3万トンを採掘する計画であったカタビー鉱山も1年間休止します。この動きは、主に二酸化チタン顔料の原料となるルチルの需要が世界的に低迷していることを示唆しています。実際、中国のジルコニウム・チタン生産者の一部も7月中旬に生産を停止しており、米国の大手二酸化チタン顔料生産者であるトロクソンも3月に工場を閉鎖しています。これらの動向は、顔料市場全体の軟調な推移を裏付けています。


イルカ・リソーシズの戦略と将来展望

しかし、イルカ・リソーシズは全ての生産活動を停止するわけではありません。南オーストラリア州にある年間35万トンのジルコンを生産するジャシンス・アンブロシア鉱山では生産を維持し、2025年後半に稼働予定のバルラナルド鉱山でも試運転作業を継続します。同社は、ルチル需要が回復すれば、カタビー鉱山とSR2の生産を迅速に再開できる体制を整えています。この戦略は、市場の変動に柔軟に対応しつつ、長期的な成長戦略を維持しようとするイルカ・リソーシズの姿勢を示しています。今後、不動産市場の動向や世界経済の回復が、ジルコンおよびルチルの需要に大きな影響を与えるでしょう。


金属フォーカス 編集部コメント

イルカ・リソーシズによるカタビー鉱山の一時休止は、重鉱物市場における重要鉱物の価格変動リスクと需給バランスの不安定さを浮き彫りにしています。特に、ルチルやジルコンといった産業用マテリアルは、その用途が広範であるため、景気変動の影響を受けやすい特性があります。今回の決定は、市場の慎重な見方を示唆しており、今後の重鉱物サプライチェーンの再編や価格形成に大きな影響を与える可能性があります。


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