米国関税で競争激化するブラジル アルミニウム産業

Alumar


ブラジルのアルミニウム市場で国際的な競争が激化しています。米国が輸入関税を強化した結果、世界中の生産者がブラジル市場に注目しているためです。ブラジルの主要アルミニウム生産者アマルは、市場の競争増加を認めました。複数の関係者も、海外生産者による販売量が増加していると指摘します。


海外勢の参入と価格プレミアムの下落

インド最大のアルミニウム生産者であるヴェダンタは、以前からブラジル市場で販売しています。しかし、その販売量は増加傾向です。加えて、ロシアの最大手ルサールもブラジルへの販売を試みているという情報があります。これらの新規参入者や海外からの流入が、現地の市場を変えています。ブラジル政府のデータによると、2025年1月から7月までのアルミニウム輸入量は前年同期比で増加しました。

この結果、ブラジル国内のアルミニウム価格プレミアムは下落しています。特に押出ビレットのプレミアム価格は、米国が3月12日に関税を実施して以来、継続的に低下しました。市場参加者は、米国関税がアルミニウムの世界的な貿易フローを欧州やブラジルへと再編していると分析しています。


ブラジル国内生産者の戦略と展望

国内市場に焦点を当てる大手ブラジル アルミニウム産業の生産者は、米国関税の影響は限定的だと述べています。コンパニア・ブラジレイラ・デ・アルミニュオ(CBA)は、売上高の90%以上を国内市場が占めるため、影響を最小限に抑えています。同様に、アルブラスも輸出フローに大きな変化はないと説明します。アマルは国内需要への対応を最優先事項とし、生産能力を最大限に引き上げる計画です。

しかし、米国の輸入関税による2025年の損失は2億1,000万ドルに達する可能性があります。また、ブラジルのアルミニウム輸出量は2025年上半期に25%減少しました。現地のアルミニウムプレミアムは、関税実施後に下落傾向が続いています。ブラジル アルミニウム産業の動向は、今後も市場の重要な焦点となるでしょう。


金属フォーカス 編集部コメント

米国による貿易障壁は、グローバルなアルミニウムサプライチェーンに具体的な変化をもたらしています。ブラジル市場への関心が高まる一方で、国内企業は「内需志向」を強化することで自社の安定を図っています。この戦略が国際競争にどこまで耐えうるか、今後の価格動向と各社の対応を注視すべきです。


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