ウクライナの主要リチウム鉱床、国際入札開始へ

Dobra site Lithium


ウクライナ政府は、中部キロヴォフラード州にあるドブラ鉱床でのリチウム採掘権に関する入札を開始しました。これは、アメリカとの間で締結した重要鉱物に関する協力協定の一環です。一方で、このプロジェクトの所有権を巡る法的紛争が浮上しています。ウクライナの資源開発計画が具体的な一歩を踏み出した形です。

ウクライナは、欧州のリチウム埋蔵量の約3分の1を保有します。同国の重要鉱物は、世界の総埋蔵量の約5%を占めるとされます。今回の入札は、4月下旬に締結されたキーウとワシントンの鉱物協力協定の第一歩です。この協定に基づき、米国企業は優先的なアクセスを得ます。加えて、収益は現地に再投資される計画です。この動きは、中国への依存を減らしたい欧米諸国の戦略とも一致します。

しかしながら、この入札にはすでに法的紛争の火種があります。ナスダック上場のクリティカル・メタルズ社は、ドブラ鉱床の権利を主張しています。同社の筆頭株主である豪州のヨーロピアン・リチウム社が、2024年に買収したペトロ・コンサルティング社を通じて権利を管理しているという立場です。ヨーロピアン・リチウムは、裁判所がライセンス発行を命じたにもかかわらず、正式な交付はなかったと主張しています。

一方、米国政府が主要投資家であるテックメット社も関心を示しています。同社のCEOは、すでにプロジェクトを評価済みであり、入札に参加する意向を表明しました。ウクライナ政府は、落札企業に50年間の契約と1億7,900万ドル以上の投資を求めています。この金額には、探査と生産の両方が含まれます。ウクライナの主要リチウム鉱床は、エネルギーや技術分野で戦略的に重要です。


金属フォーカス 編集部コメント

ウクライナのこの動きは、欧米諸国にとって脱中国化の重要な一手となり得ます。同時に、既存の所有権問題がプロジェクトの進捗に影響を与える可能性があります。この案件は、今後グローバルなリチウム市場のサプライチェーンに大きな変化をもたらすでしょう。


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