アジアのアルミ相場が下落、日本向けプレミアム軟化と欧州シフトの行方

Aluminium Price Trends


アジア市場におけるアルミニウムの価格動向に変化が見られます。日本の主要港(MJP)向けアルミニウム地金プレミアムは、第4四半期に下落する見通しです。これは、米国による関税引き上げや国内需要の低迷が主な要因です。一方、欧州市場ではプレミアムが上昇しており、アジアの生産者や商社は欧州への販売シフトを検討しています。この動きは、今後のアジア市場、特に日本のアルミニウム需給に大きな影響を与える可能性があります。


日本国内のアルミ需要低迷と価格への影響

日本の国内アルミニウム製品の生産量と出荷量は、今年5月以降、前年比で減少が続いています。これは、米国がアルミニウム製品に課した輸入関税の引き上げが、輸出を抑制しているためです。加えて、国内の主要セクターからの需要が低迷しています。日本国内のアルミニウム関連半製品の生産や受注も振るわず、新たな成長分野が不在であることも、市場のセンチメントを押し下げています。このような国内市場の弱さが、第4四半期のアルミニウムプレミアム下落の大きな要因となっています。交渉初期では1トンあたり95~105ドルで提示されましたが、最終的なプレミアムは75~90ドルまで下がると予想されています。


欧州市場へのシフトとアジア市場の均衡

欧州市場では、夏期休暇後の需要回復期待と供給不安から、アルミニウムのプレミアムが上昇しています。これを受け、アジアの生産者や商社は、ブラジルやインド産アルミニウムを中心に、欧州への出荷を検討し始めました。欧州とアジア間の価格差が拡大すれば、東南アジアの生産者も欧州への販売を優先する可能性があります。アジアの市場参加者は、欧州の関税支払い済みプレミアムと関税未払いプレミアムの両方が上昇するかを注視しています。この欧州への供給シフトが持続すれば、アジア市場の供給量が減少し、日本の四半期ベンチマーク価格の下落を抑制する可能性があります。この動きは、グローバルな需給バランスに変化をもたらすでしょう。


金属フォーカス 編集部コメント

アルミニウム市場におけるアジアと欧州間のプレミアム格差は、グローバルな貿易フローの変化を明確に示しています。日本の国内需要の構造的課題が価格下落を招く一方、欧州市場の動向がアジアの生産者の戦略を左右しています。この地政学的、経済的要因によるサプライチェーンの再編は、今後も市場の鍵を握ります。日本のメーカーは、この不安定な市場環境でどのように安定的な調達戦略を築くかが課題となるでしょう。


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