2025年8月の世界銑鉄生産、前年同月比0.8%減の1億1,730万トンに

Global pig iron production


2025年8月の世界銑鉄生産量は前年同月比0.8%減の1億1,730万トンとなりました。月次では前月比1.9%増加し、生産動向に若干の回復が見られます。銑鉄生産は高炉法と直接還元法で行われており、両方式とも前年同月比で増加しています。世界鋼鉄協会のデータを基に、主要国の生産状況と市場動向を分析します。


銑鉄生産の方式別内訳と主要国動向

2025年8月、銑鉄生産のうち高炉法による生産量は1億660万トンで前年同月比4.2%増、前月比0.9%増と堅調な伸びを示しました。一方、直接還元法は1,070万トンで前年同月比4.7%、前月比13.5%増と大幅に増加しています。2025年1~8月累計では、銑鉄生産量は前年同期比1%減の9億3,104万トンに減少しましたが、直接還元法は8444万トン、高炉法は8億4,660万トンを生産しています。

主要生産国では、中国が5億7,907万トン(前年同期比1.1%減)でトップですが減少傾向にあります。インドは1億2,230万トン(同7.7%増)と大幅に増産し、成長を続けています。ロシアは3,954万トン(同0.7%減)、日本は3,934万トン(同4%減)、韓国は2,888万トン(同1.5%減)となっています。ウクライナは40か国中13位で、1~8月累計で511万トン(同7.9%増)を生産しました。


2024年の世界銑鉄生産総括と市場展望

2024年の世界銑鉄生産は前年比1.3%減の13億9,100万トンでした。高炉法は12億6,500万トンで1.6%減少した一方、直接還元法は1億2,557万トンで4.5%増加しました。主要国の生産動向は中国(8億5,174万トン、2.3%減)、インド(1億4,491万トン、6.7%増)、日本(6,103万トン、3.2%減)、ロシア(5,899万トン、5.4%減)、韓国(4,411万トン、2.4%減)とインドのみが堅調な成長を示しました。

これらのデータは世界の鋼鉄市場における生産方式の変化と地域間の競争を浮き彫りにしています。特にインドの生産増加は新興市場の成長と技術進展を反映しています。


金属フォーカス 編集部コメント

世界の銑鉄生産は依然として中国が主導権を握っていますが、2025年に入りインドの成長が際立っています。高炉法から直接還元法へのシフトは環境規制強化やコスト削減の観点から今後も加速する見込みです。これにより、地域別の生産競争と技術革新が鋼鉄市場の構図を大きく変えるでしょう。


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