欧州委員会、鉄鋼輸入に対する新たな保護措置を10月中旬に発表予定

EU steel import protection measures


欧州鉄鋼協会(EUROFER)は、欧州連合(EU)貿易担当委員マロシュ・シェフコヴィッチが、現行の鉄鋼輸入保護措置を置き換える新たな対策を10月中旬までに発表することを歓迎しています。この発表は、EUの鉄鋼産業を守るため、またグローバルな競争環境の中でEUの経済的自立を確保するために重要な意味を持っています。


鉄鋼産業の自立性と投資保護

シェフコヴィッチ欧州委員は、鉄鋼業におけるEUの生産能力と投資を確保する新しい措置が必要であると強調しました。特に、世界的な鉄鋼過剰供給の影響を受ける中で、EUの鉄鋼業界が直面する課題を解決するための措置が求められています。欧州鉄鋼協会の会長、ヘンリク・アダム氏は、EUが経済的な自立性を保つためには、鉄鋼産業への投資と生産能力の維持が不可欠であると述べています。

シェフコヴィッチ委員はまた、米国との共通のアプローチを模索し、鉄鋼業における過剰能力に対する保護策を強化する方針を示しました。これには、EU製鉄鋼およびその関連製品に対する米国の50%の関税問題の解決も含まれます。米国とEUが共に過剰能力問題に取り組むことは、今後の貿易関係における重要な課題となるでしょう。


鉄鋼輸入の新しい規制とその影響

シェフコヴィッチ委員は、10月中旬には非常に厳しい貿易防衛措置を導入する予定であると発表しました。この新たな措置は、鉄鋼輸入のルールを強化し、欧州市場における不正な輸入や原産地を隠す行為を防ぐための追跡機能の導入を含む可能性があります。これにより、特に中国からの鉄鋼輸入が多い中で、EU市場における過剰供給問題が緩和されることが期待されます。

また、EUは鉄鋼輸入の総量に注目し、その出所を精査する方針です。シェフコヴィッチ委員は、EUが2008年以降に6,000万トンの生産能力を失い、現在も世界で唯一生産量が減少している地域であることを指摘しました。この現状を打開するためには、迅速な政策対応が求められます。


金属フォーカス 編集部コメント

EUの鉄鋼業界は、依然として過剰供給問題と激しい国際競争に直面しています。新たな保護措置の導入は、特に中国からの鉄鋼輸入に対する強力な防衛手段となる可能性がありますが、これが世界的な貿易摩擦を引き起こさないか注視する必要があります。今後、EUがどのようにして他国との貿易バランスを維持しつつ、国内産業を保護していくのかが重要なポイントです。


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