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EU DRI |
2025年1月から7月の期間、欧州連合(EU)の直接還元鉄(DRI)輸入量は、2024年の同時期と比較して24.5%減少し、1.28百万トンとなりました。この結果は、特にドイツとオランダからの輸入が大幅に減少したことに起因しています。
主要輸入国の動向と影響
2025年上半期のDRI輸入量は、イタリア、オーストリア、スペインが主な輸入国であることがわかります。特に、イタリアは606.81千トンで前年比23.9%の増加を見せ、オーストリアも209.16千トンで前年比25.3%の増加となっています。スペインも168.84千トンで前年比5.3%の増加を記録しました。これに対し、ドイツとオランダからの輸入は大幅に減少し、ドイツでは前年同期の383.5千トンからわずか25.63千トンに減少しました。また、オランダでは154.08千トンから42.35千トンに減少しました。
イタリアの製鉄業者の輸入増加と、その他の主要消費国からの中程度の需要増加により、全体の減少幅は限定的となりました。しかし、ドイツとオランダの減少が市場全体に大きな影響を与えています。
ロシアからの供給量と供給チェーンの変化
ロシアはEUへのDRI最大の供給国であり、2025年1月~7月にロシアからの輸入量は441.68千トンで、前年比33.7%の減少となりました。ロシア製品の主な輸入国はイタリア(233.44千トン、前年比36.6%減)とポーランド(54.99千トン、前年比44.9%減)です。さらに、ベルギーとスペインもそれぞれ84千トン(前年比20.5%減)と69.2千トン(前年比16.9%増)を輸入しました。
一方、リビアとベネズエラからの供給量には大きな変化が見られます。リビアは174.62千トンをEUに供給し、前年比48.4%減少しました。これに対し、ベネズエラからの供給は大幅に増加し、368.3千トンを輸出して前年比2.02倍の増加を記録しています。ベネズエラの供給増加は、供給チェーンの再編成を示唆しており、今後の動向に注目が集まります。
2025年7月のDRI輸入の状況
2025年7月、EUのDRI輸入量は137.2千トンで、前年同月比60.5%減少し、前月比でも0.2%の減少となりました。ロシアからは67.5千トンが輸入され、前年比22.3%の減少を記録しましたが、月間で見ると222%の増加となっています。リビアからは18.1千トンが輸入され、前年比80.5%減少しましたが、6月には供給がありませんでした。ベネズエラからの輸入は10千トンで、月間では88.4%減少し、前年同期比では91.5%の減少となりました。アメリカ合衆国からの輸入は36.05千トンで、前年比42.8%の増加を記録しました。
金属フォーカス 編集部コメント
EUのDRI市場は、ロシアからの供給減少や供給チェーンの再編成といった要因により、変動しています。特に、ベネズエラの供給増加は、今後の供給ダイナミクスに大きな影響を与える可能性があります。EU市場の安定性を保つためには、新たな供給源の確保と、各国間の貿易関係を調整することが重要です。