Flash Joule Heating技術で米テキサスに画期的な重要鉱物回収プラントを構築

Flash Metals USA Flash Joule Heating


オーストラリア上場企業Metallium Limitedの子会社、Flash Metals USAは、テキサス州チェンバーズ郡に初の商業用Flash Joule Heating(金属回収)プラントの建設を大幅に進めています。本プラントは、希少金属や重要鉱物の回収に特化し、2025年12月の稼働開始を目指しています。

Flash Joule Heating技術は元々、食品廃棄物などの炭素源からグラフェンを製造する目的で開発されましたが、2021年にライス大学の研究者らが電子廃棄物からロジウムパラジウムを効率的に回収する用途へ適用しました。Metalliumはこの技術を活用し、アンチモン、希土類磁石、重希土類を含む電子スクラップ、さらには特定の鉱石鉱石も対象に商業展開を進めています。

Metalliumは米国産電子廃棄物を原料とした試験で、金の回収率100%(原料金含有量551 g/t)、銀97%(2,804 g/t)、アンチモン98%(3.13%含有)と、従来の鉱石を大幅に上回る高効率を実証しています。テキサスのプラント建設では、設備調達や現地インフラ整備を着実に進め、環境規制対応のため空気・水質管理、廃棄物処理許認可を進行中です。また、エンジニアリング会社Hunt, Guillot & Associatesと連携し、構造解析やプラント統合設計を進めています。現地電力会社Entergy Texasとも長期運転に必要な電力供給契約を最終調整中です。

重要なマイルストーンとして、初回の60トン分のプリント基板(PCB)スクラップ電子廃棄物の調達も完了しました。MetalliumのCEOマイケル・ウォルシェ氏は「主要設備の発注、現地工事の進捗、原料確保により、プロジェクトのリスクを大幅に軽減した」と述べています。彼はさらに、「Flash Joule Heatingのモジュール設計を活かし、米国内の主要電子廃棄物集積地近くの許認可済みサイトで迅速に拡大展開する計画だ」と語りました。

本プロジェクトは、米国内での重要金属回収・精製分野におけるリーダーシップ確立に向けた基盤となると期待されます。


金属フォーカス 編集部コメント

Flash Joule Heating技術は電子廃棄物からの重要金属回収を革新し、資源循環の新時代を切り拓きます。米国のプラント建設は地域経済への波及効果も大きく、今後のグローバルな金属供給網に影響を与えるでしょう。今後の拡大展開が注目されます。

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