ブラジルの鉄鋼輸入割当、8月13日時点で56%消化

Brazil Steel Import Allocation System


ブラジルの鉄鋼輸入割当制度は、2025年8月13日時点で約56%が消化されました。貿易事務局の発表によると、4ヶ月間の割当上限475,800トンに対し、268,600トンの輸入が行われています。この制度は2024年6月に導入され、国内鉄鋼産業の保護と輸入急増の抑制を目的としています。現在の割当期間は10月23日まで続きます。


割当制度の詳細と輸入動向

ブラジル政府は、熱間圧延鋼板(HRC)、チューブコーティング鋼板など17品目に対し、9~13%の低関税枠を設定しています。各品目の割当数量に達すると、超過分には25%の高関税が課されます。特にコーティング鋼板の割当消化が早く、64%に達しました。小規模輸入業者向けの割当も厳格化され、一部コーティング製品では新たな輸入許可の発行が停止されています。

一方、HRCの割当消化率は31%と低めであり、品目ごとに需給状況のばらつきが見られます。税関データでは、多くの貨物がマナウス港へ配送されており、同地域の財政優遇策が輸入競争力を支えています。


2025年の鉄鋼輸入動向と今後の展望

ブラジル産業団体Instituto Aço Brasilによれば、2025年6月の鉄鋼輸入量は前年同月比39%増の596,000トンと過去最高を更新する見込みです。政府は輸入割当制度を2026年6月まで延長し、対象品目の拡大と割当量の調整を進めています。これにより、国内鉄鋼市場の安定と保護を図る一方、輸入依存度の高まりには注意が必要です。


金属フォーカス 編集部コメント

ブラジルの鉄鋼輸入割当制度は、国内産業保護の重要な手段ですが、輸入増加傾向が続く限り市場の不確実性は高まります。今後は割当制度の見直しや関税政策の柔軟化が求められ、投資家やメーカーは動向を注視する必要があります。


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