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メキシコの大型車販売は2025年7月に前年比で約47%減少しました。経済減速や政策の不透明性、物流運用の障害が販売低迷の主因です。統計局Inegiのデータによれば、大型トラックやバスの販売台数は5,552台にとどまり、2024年7月の10,511台から大幅に落ち込みました。特に卸売販売は60%減の2,175台と、より一層の縮小を見せています。
この卸売市場の縮小は、大手物流企業が投資を控えていることを示しています。市場関係者は、運営コストの上昇や将来の政策不確実性から、新車購入を延期または縮小していると指摘します。一方で、大型車の生産も前年同月比で55%減少し、9,690台となりました。輸出も23%減の7,890台に落ち込んでいます。2025年1~7月の累計販売台数は約41,000台で、前年同期の65,000台から35%減少しました。
大型車販売減少の背景と影響
メキシコの大型車市場は、国内の物流産業活動を反映する重要な指標です。Anpact(メキシコ大型トラック・バス製造業者協会)のロヘリオ・アルザテ会長は、「効率的で安全かつ低排出の新型車両への更新を促進するため、政府との連携による資金支援とインセンティブの創設が急務だ」と述べています。さらに、米国からの中古大型車輸入が国内新車需要を圧迫している点も懸念材料です。
経済の減速は、トランプ前米大統領の関税政策に端を発する貿易交渉の不透明感が原因の一つです。これにより物流企業は設備投資を控え、ディーゼル燃料および排ガス浄化剤(DEF)の需要減少も懸念されます。また、米国側がメキシコ国境を越えるトラック運転手に「十分な英語能力」を求める新規則導入や、メキシコ国内での燃料輸送車両に対する検査強化も輸送効率に影響を与えています。
金属フォーカス 編集部コメント
メキシコ大型車市場の急激な縮小は、サプライチェーンの安全性や環境規制対応に重大な影響を与えます。今後は政策の明確化とともに、電動化や排出ガス低減技術への転換が加速すると予想されます。投資家やメーカーはこれらの動向を注視し、戦略的対応を求められる局面にあります。