中国アルミ産業の動向:河南万基集団の新疆への能力置換計画

China Aluminum Industry


中国のアルミ業界に新たな動きが見られます。

大手アルミメーカーである**万基控股集団(Wanji Holding Group)**が、河南省洛陽市にある既存の生産能力を新疆ウイグル自治区へと移転する計画を発表しました。この計画は、中国政府が推進する環境規制と産業構造の最適化に対応するものです。今回の移転は、旧式設備の解体と最新鋭の電解槽導入を伴います。これは、中国のアルミ産業がより効率的で環境に配慮した生産体制へとシフトしている現状を示しています。


万基集団は、現在58万トン/年のアルミ生産能力を河南省で有しています。

同社はこれを新疆に移管し、新興市に新工場を建設する予定です。新工場の着工は2026年3月、生産開始は2027年12月を目標としています。この新工場では、世界最先端の600キロアンペア級大型電解槽を導入します。これにより、旧式の300~400キロアンペア級電解槽よりも大幅な効率向上が見込まれます。計画では、新工場が稼働を開始するのと同時に、河南省の旧工場を解体します。この一連の動きは、中国政府が定めるアルミ生産能力上限4,500万トン/年の枠組みの中で行われます。


中国政府は、老朽化した設備の更新とグリーンエネルギーへの転換を積極的に奨励しています。

万基集団の今回の能力置換計画は、こうした政策に合致するものです。また、同業の河南伊電集団(Yidian Holding Group)も、河南省から内モンゴル自治区への能力置換計画を進めています。こうした事例は、中国のアルミメーカーが、より安価で豊富なエネルギー源を求めて生産拠点を内陸部へ移していることを示しています。特に、新疆や内モンゴルは水力や風力、太陽光発電といった再生可能エネルギーが豊富です。このため、エネルギーコストを削減し、持続可能な生産体制を構築する上で魅力的な地域となっています。


金属フォーカス 編集部コメント

中国におけるアルミ産業の能力置換は、単なる生産拠点の移転ではありません。これは、よりエネルギー効率の高い技術への移行と、再生可能エネルギーの活用を加速する動きです。今後、新疆や内モンゴルといった地域が、中国アルミ産業の新たな中核拠点となるでしょう。このトレンドは、世界のアルミ需給バランスや、エネルギー価格の変動にも大きな影響を与える可能性があります。

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