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韓国におけるEVと水素燃料車(エコカー)の国内販売台数が、2025年7月に過去最高の月間記録を更新した。7月の韓国国内自動車販売台数のうち、エコカーが過半数を占めた。これは、内燃機関車(ICE)からエコカーへの消費者嗜好が明確にシフトしたことを示している。この動向は、リチウムやコバルトなどの重要鉱物サプライチェーンに直接的な影響を及ぼす。
エコカー市場の拡大と車種別の動向
韓国産業通商資源部(Motie)によると、7月の国内エコカー販売台数は約76,600台に達した。前年同月比で約52%増、前月比で5.4%増という大幅な伸びだ。これに対し、7月の国内自動車総販売台数は前月比で5%減少した。このデータは、市場がエコカー需要によって牽引されている事実を物語っている。特に、EVと水素燃料車の中でも、バッテリー式電気自動車(BEV)の販売が顕著だ。BEVは前月比26%増の約25,600台を記録した。一方で、ハイブリッド車の販売は前月比で減少している。
この販売動向は、自動車メーカー各社の戦略にも影響を与える。BEVの生産拡大は、バッテリー素材であるリチウム、ニッケル、コバルト、グラファイトの需要をさらに押し上げる。さらに、水素燃料車は白金などの貴金属を触媒として使用する。加えて、韓国はEVと水素燃料車の主要輸出国でもある。7月のエコカー輸出台数は前年比で約17%増加した。この成長は、グローバルな脱炭素化の流れと一致する。
米韓貿易協定と今後の市場展望
韓国の自動車市場は、国内動向だけでなく、国際的な貿易政策からも影響を受ける。7月31日に米国と韓国が新たな貿易協定を締結した。この協定により、米国は韓国からの輸入車に対する関税を15%に引き下げる。この措置は、韓国製エコカーの米国市場での競争力を高める可能性がある。特に、米国市場はBEVにとって重要だ。関税の引き下げは、韓国メーカーの米国向け輸出をさらに加速させるだろう。
金属フォーカス 編集部コメント
韓国におけるEVと水素燃料車の販売急増は、単なる国内市場のトレンドではない。これは、自動車産業の動力源が根本的に変化しているグローバルな潮流を象徴している。この変化は、バッテリー素材や燃料電池の原料となる重要鉱物需要を劇的に高める。今後、資源の安定供給を確保するためのサプライチェーン構築が、自動車メーカーや関連企業にとって最も重要な課題となる。