リオ・ティント、ニュージーランドのアルミ生産削減で電力供給に貢献

Rio Tinto Tiwai Point


世界的な鉱物資源大手リオ・ティントは、ニュージーランド南島のティワイ・ポイント製錬所でアルミニウム生産を削減しました。この生産調整は、同国の電力不足を緩和する一助となりました。この動きは、アルミニウム生産と電力供給の相互関係を明確に示しています。


生産削減が国内電力供給を安定化

2024年6月までの会計年度において、リオ・ティントのティワイ・ポイント製錬所はアルミニウム生産量を削減しました。この結果、ニュージーランドの電力供給500GWhが解放されました。メリディアン・エナジーの財務報告によると、年間335,000トンの生産能力を持つこの製錬所は、2024年度に同社の発電量の24%を消費しました。前年度の37%から大きく減少しています。この生産量削減は、メリディアン・エナジーとの電力需要削減契約に基づきます。全国的な電力不足が発生した2024年6月には、リオ・ティントは工場の稼働を一時的に3分の1にまで絞りました。この戦略的判断は、アルミニウム生産と電力供給の相互関係における協調の重要性を浮き彫りにします。


エネルギー問題に直面するニュージーランド産業

リオ・ティントは、2024年5月に住友化学からティワイ・ポイント製錬所の権益を完全に取得し、出資比率を100%に引き上げました。しかし、2024-25年度のアルミニウム生産量は257,000トンに留まりました。これは前年度の264,000トンを下回る水準です。これは高コストを理由に2021年に閉鎖を計画した経緯も関係しています。同様に、カナダのメタノール大手メタネックスも、2024年8月に北島の2つの工場を一時的に閉鎖しました。契約中のガス供給を国内市場に振り向けたのです。ニュージーランドの電力供給見通しは依然として不確実です。国営送電事業者トランスパワーは、電力不足のリスクが増加していると指摘します。水力発電の貯水量が歴史的平均を下回っているためです。この状況は、アルミニウム生産と電力供給の相互関係が、国のエネルギー安全保障に直結する課題であることを示しています。


金属フォーカス 編集部コメント

大規模なアルミニウム製錬所は、大量の電力を消費する「電力多消費産業」の代表格です。リオ・ティントの今回の対応は、単なる生産計画の変更にとどまらず、電力供給の安定化に貢献する新しいビジネスモデルを提示しています。これは、再生可能エネルギーへの移行が進む中で、エネルギー源が不安定になりやすい今後の鉱物製錬業界のサプライチェーンにおいて、重要な示唆を与えます。


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