神戸製鋼の「黒ペレット」事業:鉄鋼業界の脱炭素化を加速させるか?

Kobe Steel black pellets


日本の鉄鋼メーカー、神戸製鋼所(Kobelco)は、マレーシアで「黒ペレット」と呼ばれる木質燃料の生産事業に乗り出すと発表しました。これは、同社の脱炭素化戦略の一環です。神戸製鋼は、マレーシアの林業会社サムリング・ストラテジック・コーポレーションと共同で事業化調査を行います。この新しい黒ペレット事業は、高炉における石炭代替燃料として活用されます。


鉄鋼生産における「黒ペレット」の役割と市場動向

黒ペレットは、熱処理によって製造されるバイオマス燃料です。一般的な木質ペレットよりも高い発熱量と優れた耐水性、粉砕性を持ちます。また、石炭と同様の特性を持つため、既存のインフラを活かして利用することが可能です。鉄鋼業界をはじめとする非電力セクターでは、CO2排出量削減の選択肢として、この熱処理バイオマスへの関心が高まっています。特に神戸製鋼は、自社高炉での利用を計画しています。将来的には、この燃料を他の鉄鋼・金属メーカーにも販売する可能性があります。


サプライチェーンの構築と将来展望

神戸製鋼とサムリングは、マレーシアのサラワク州にあるサムリング社の森林から原料を調達します。両社は、早期に年間30万トンの生産能力を目指し、将来的には年間100万〜200万トンへの拡大を計画しています。この大規模な生産体制は、黒ペレットの安定供給に貢献するでしょう。この取り組みは、鉄鋼業界の脱炭素化を加速させる重要な一歩です。


金属フォーカス 編集部コメント

黒ペレットの活用は、鉄鋼業界における脱炭素化の現実的な選択肢として注目されます。しかしながら、その需要増は、電力セクターとのバイオマス資源の獲得競争を引き起こす可能性があります。神戸製鋼のような鉄鋼メーカーがサプライチェーンの上流に参画することで、原料確保の安定性を高める戦略的意義は大きいでしょう。これは、今後、他の金属・マテリアル企業が脱炭素化を進める上で参考になる事例です。


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