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Queensland Coal Royalty Scheme |
オーストラリアの石炭生産者たちが、クイーンズランド州の新たな鉱物ロイヤルティ制度に懸念を表明しています。この累進課税制度は、石炭価格に連動してロイヤルティ率が変動します。クイーンズランド州の鉱山ロイヤルティは、新たな投資を制限し、既存の鉱山運営にも悪影響を及ぼしています。特に原料炭や一般炭といった石炭の種類に関わらず、価格上昇に伴いロイヤルティ負担が増大します。この制度は、世界的なエネルギー・マテリアル市場におけるオーストラリアの競争力を低下させる可能性を秘めています。
財政的圧力と投資抑制の現状
クイーンズランド州の鉱山ロイヤルティは、企業の投資判断に直接的な影響を与えています。例えば、ホワイトヘイブン・コールは、クイーンズランド州での新規投資を停止しました。同社は、隣接するニューサウスウェールズ州に投資を集中させる方針です。さらに、BHPも同様に、クイーンズランド州での新規資産開発を行わないと表明しました。同社は、鉄鉱石や銅といった他商品への投資に注力しています。投資資金がクイーンズランド州から流出することで、将来の生産能力の拡大が阻害される可能性があります。
この制度は、既存の生産者にも深刻な財政的ストレスを与えています。ボーウェン・コーキング・コールは、ロイヤルティ支払いの延期に失敗し、自主管理手続きに入りました。コロラド社も、自社鉱山を維持するため、石炭価格を基にした資金調達を余儀なくされました。このように、クイーンズランド州の鉱山ロイヤルティは、企業の経営を圧迫しています。
金属フォーカス 編集部コメント
クイーンズランド州の鉱山ロイヤルティは、短期的な税収増を狙う一方で、長期的な供給リスクを生み出しています。企業が赤字プロジェクトを吸収する意欲を失うことで、将来的に安定した石炭供給が困難になるかもしれません。特に原料炭は鉄鋼生産に不可欠であり、今回の動向はグローバルなマテリアルサプライチェーンに波及する可能性を秘めています。政策の変更がなければ、この傾向は続くとみられます。