 |
| Silver |
銀は市場で最も好調なコモディティの一つです。投資家の関心が再び高まっています。また、ファンダメンタルズの強さが価格を14年ぶりの高値圏に押し上げました。今年すでに28%の上昇を記録しました。一方で、一部アナリストは上昇は始まったばかりと見ています。銀は魅力的な投資機会であり続けています。シティグループは短期的な銀価格予測を1オンス40ドル超に引き上げました。供給の逼迫と需要の拡大がその背景です。
構造的供給不足が続く銀市場
貴金属投資会社スプロットは、銀の中期見通しを発表しました。数年にわたる構造的な供給不足が主要な要因だと指摘しています。加えて、産業需要の強まりも価格をさらに押し上げます。スプロット社はシルバー・インスティチュートやメタルズ・フォーカスのデータを引用します。これによると、2025年は世界の銀市場が7年連続で供給不足となる見通しです。この状況は銀価格に上昇圧力をかけ続けます。
一方、エネルギー分野からの需要は減速していません。銀は太陽光発電や電気自動車（EV）に不可欠です。これらの技術は世界の電力需要増加に対応します。昨年、太陽光発電からの需要は銀全体の17%を占めました。これは10年前の5.6%から3倍に増加しています。さらに、鉱山からの供給量は減少しています。2016年以降、世界の鉱山供給量は7%減りました。これが長期的な構造的供給不足に寄与しています。
投資需要の増加が「シルバー・スクイーズ」を引き起こす可能性
スプロット社は、力強い投資需要を銀市場の「ワイルドカード」と位置付けます。銀ETF（上場投資信託）の人気が需要に大きな影響を与え続けます。多くの銀ETFは現物の銀を保管します。その結果、産業ユーザーは利用できなくなります。2025年上半期、世界の銀ETFは9,500万オンスの純流入を経験しました。スプロット社のアナリスト、マリア・スミルノワ氏は言います。銀は金に対して「過小評価」された状態です。銀は、金と比べて安価で、高い成長の可能性を投資家に提供します。
彼女は、銀の自由に取引される在庫が大幅に減少したと指摘します。これにより、わずかな需要増加が価格の大幅な上昇につながる可能性があります。現在の状況は、将来的な「シルバー・スクイーズ」を引き起こす舞台を整えていると彼女は分析しています。この状況が銀価格に大きく影響を与えます。
金属フォーカス 編集部コメント
産業需要と投資需要の両方から供給不足が長期化しています。銀市場は需給バランスの転換期を迎えています。この市場構造の変化は、単なるコモディティ価格の変動を超えた示唆を持ちます。銀が戦略的な重要鉱物としての位置付けを強める可能性を示唆します。
