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Turkey imports of scrap metal |
2025年上半期、トルコの鉄スクラップ輸入量が前年比で減少しました。この背景には、原料コストの変動と国際的な需給バランスの変化が見え隠れします。トルコ鉄鋼業界の動向は、グローバル市場に大きな影響を与えます。今回は、主要供給国のデータから、この減少トレンドの要因を深掘りします。
トルコの鉄スクラップ輸入動向:コスト削減が鍵
トルコ統計局(TUIK)のデータによると、トルコの鉄鋼メーカーは2025年上半期に鉄スクラップ輸入を削減しました。輸入量は938万トンに達し、前年同期比で5.8%の減少です。この輸入量の減少に加えて、注目すべきは原料輸入にかかる費用です。同期の支出は35.6億ドルとなり、前年比で16.2%の大幅減を記録しました。これは、単に輸入量が減っただけでなく、原料価格の変動がコスト削減に大きく寄与したことを示唆しています。トルコは世界有数の鉄鋼生産国であり、原料コストの最適化が重要な経営戦略となっています。
主要供給国の動向:米国からの輸入は減少、欧州は増減混在
トルコの鉄スクラップ輸入先は多様ですが、主要な供給国である米国、オランダ、英国の動向に注目が集まります。2025年上半期、米国からの輸入量は172万トンと、前年比で18.8%の大幅な減少を見せました。一方で、オランダからの輸入は150万トンと14.5%増加しています。英国からの輸入は92.4万トンで、16.5%減少しました。このほか、ベルギーやポーランド、ドイツなど欧州各国からの供給は増減が混在しています。特にポーランドからの輸入は、6月単月で前年比235.5%の大幅増を記録しました。これは、欧州域内での需給バランスや物流コストが、トルコの調達戦略に影響を与えている可能性を示唆しています。
金属フォーカス 編集部コメント
トルコの鉄スクラップ輸入動向は、単なる一国の動向ではありません。国際的な鉄鋼需要の変動、特に欧州における需給バランスの変化を色濃く反映しています。また、原料価格の動向が、輸入量よりもコストに大きな影響を与えている事実は、投資家や政策担当者にとって重要な示唆となります。今後は、米国や欧州の経済動向がトルコの調達戦略にどう影響していくか、引き続き注視していきます。