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EU Steel |
欧州鉄鋼連盟(EUROFER)は、米国との新たな貿易協定がEU鉄鋼セクターの主要な問題を解決していないと批判しました。特に、米国による欧州鉄鋼製品への50%という高関税が依然として維持されており、これがEUからの輸出と生産に深刻な影響を与えています。グローバルな投資家、メーカー、政策担当者は、この状況が世界の金属市場に与える影響を注視する必要があります。
EUROFERのアクゼル・エガート事務局長は、今回の協定が状況のさらなる悪化を制限するに過ぎず、業界の安定を保証しないと強調しています。現在の50%の関税が維持される限り、EU鉄鋼製品の対米輸出は経済的に成り立ちません。以前にEU指導者が言及した、英国との関係に類似した関税割当制度への移行は、未だ具体化していません。加えて、割当内での無関税適用についても明確な情報がありません。
2018年のセクション232に基づく規制導入以来、EU鉄鋼メーカーはすでに100万トン以上の対米輸出を失いました。2025年3月と6月に導入された追加関税(25%および50%)が状況をさらに複雑にしています。EUROFERの試算では、自動車や機械など、鉄鋼含有量の高い製品に課される15%の関税が、さらに100万トンのEUからの鉄鋼需要を減少させる可能性があります。欧州委員会は、公約した鉄鋼・金属行動計画の枠組みの中で、生産能力を少なくとも85%稼働させ、EU鉄鋼産業の戦略的安定を確保するための断固たる措置を講じるべきです。
金属フォーカス 編集部コメント
今回の協定は広範な経済関係安定化を目指すものの、EU鉄鋼セクターへの高関税が残る点は重大な懸念材料です。この高関税がEU鉄鋼産業の競争力に与える影響は避けられず、世界の鉄鋼貿易構造に歪みを生じさせる可能性があります。今後の欧州委員会の具体的な行動と、米国側の対応が鉄鋼市場の均衡にどう影響するかに注目します。