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Iron Ore Market |
鉄鉱石市場は7月に入り、3ヶ月以上の安定期を経て再び上昇軌道に乗りました。特に中国政府の経済刺激策と大規模インフラプロジェクトへの期待が、価格上昇の主要因となっています。グローバルなビジネス読者層にとって、この動向は今後の金属・重要鉱物市場を理解する上で不可欠です。
中国の大連商品取引所の9月限月先物は、月初の13.2%上昇を経て112ドル/トンを超えました。一方、シンガポール取引所の8月限月先物も10.6%上昇し、103ドル/トンに迫っています。価格上昇の背景には、中国政府の積極的な経済対策と戦略的なインフラ投資計画があります。これらは鉄鉱石需要を押し上げる強いシグナルとなりました。
7月18日、中国工業情報化省が老朽化した製鉄設備削減を含む産業改革の意向を示し、市場に一時的な警戒感が広がりました。しかし、高炉稼働率の高さと港湾在庫の低水準というファンダメンタルズが鉄鉱石価格を下支えしました。その直後、中国の首相がヤルンツァンポ川での総容量6,000万kWに及ぶ大規模水力発電所建設プロジェクトを発表しました。このプロジェクトには1.2兆元を超える投資が見込まれ、新たな国有企業の設立も含まれます。この発表はインフラセクターに即座に楽観論をもたらし、鉄鉱石市場にも波及しました。7月21日から22日にかけて、価格は3~4ドル/トン上昇し、スポット取引量も数十万トン増加しました。
7月23日以降、市場は急速な価格上昇を部分的に評価し始めました。アナリストによる投機的要素の指摘や、鉄鋼セクター改革の実践における不確実性が、小幅な価格調整を引き起こしました。しかし、中国鉄鋼工業協会(CISA)は7月中旬の鉄鋼および銑鉄生産量の増加、鉄筋在庫の減少を報告しました。これは最終需要の回復を示唆しており、価格を支える要因となります。鉄鉱石市場は、力強いファンダメンタルズ回復と政治的不確実性の間で変動を続けています。今後の中国政府の政策が鉄鉱石市場の方向性を決定するでしょう。
金属フォーカス 編集部コメント
今回の鉄鉱石価格上昇は、中国のインフラ投資が依然として世界の金属市場に大きな影響力を持つことを示唆しています。政府の景気刺激策の規模と実施状況が、今後の鉄鉱石価格、ひいては鉄鋼製品の需給バランスを左右する鍵となります。投資家は中国の政策動向に注視すべきでしょう。