![]() |
Gold Prices |
グローバルな貿易情勢の不確実性と米国債利回りの低下が、金価格を再び押し上げています。貴金属市場は、投資家の安全資産志向の高まりを明確に示しています。スポット金価格は、火曜日に一時1トロイオンスあたり3,430.41ドルを記録し、5週間ぶりの高値を更新しました。ニューヨーク市場の米国金先物も同様に1%上昇し、1トロイオンスあたり3,441.20ドルで取引されました。
米国債利回り低下が金投資を魅力的に
ベンチマークとなる米国10年債利回りは、約2週間ぶりの低水準に落ち込みました。この利回り低下は、非収益資産である金への投資妙味を高めています。現在の金価格は、4月下旬に記録した史上最高値3,500.05ドルから約70ドル低い水準にあります。今年の金価格は、世界的な貿易情勢の不確実性の中で30%以上も上昇しました。
貿易交渉の行方とFRBの金融政策が焦点に
Kitco Metalsのシニアアナリスト、Jim Wyckoff氏は、長引く貿易の不確実性が「安全資産需要を促している」と指摘します。米国は複数の貿易協定を推進中ですが、EUとの合意形成にはまだ距離があるとの見方が出ています。さらに、米財務長官Scott Bessent氏が中国との会談を示唆した一方で、欧州連合の外交官は米国に対する広範な対抗措置を検討していることを示唆しました。来週に開催される米連邦準備制度理事会(FRB)の会合も投資家の注目を集めています。FRBは金利を据え置く見込みですが、10月の利下げの可能性が浮上しており、実現すれば金価格にさらなる上昇圧力を与えるでしょう。
金属フォーカス 編集部コメント
現在の金市場の動向は、地政学的リスクとマクロ経済指標が相互に作用する複雑な局面を示しています。貿易摩擦の激化は、グローバルサプライチェーンに混乱をもたらし、結果として安全資産である金への資金流入を加速させています。今後も主要国の金融政策と貿易交渉の進展が、貴金属市場のボラティリティを高める要因となるでしょう。