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Manono lithium project |
オーストラリアに拠点を置くAVZミネラルズは、コンゴ民主共和国(DRC)と米国支援のKoBold Metalsとの新たな合意が、紛争中のマノノリチウムおよびスズプロジェクトに関連する国際仲裁命令に違反すると発表しました。DRC政府は先週、ビル・ゲイツ氏やジェフ・ベゾス氏を含む億万長者投資家が支援するAI駆動型探査企業であるKoBoldと、マノノ鉱床の南部を共同開発する予備契約を発表しました。マノノ鉱床は、世界最大級の未開発リチウム資源の一つです。
DRCは今回の合意を、同国の鉱業部門への米国投資を増加させるための「戦略的パートナーシップ」と説明しました。KoBold Metalsは、この合意がドナルド・トランプ米大統領が先月仲介したDRCとルワンダ間の和平協定と関連していると述べました。この取り組みの一環として、米国政府は米国企業向けに重要鉱物へのアクセスを確保することを目指しています。AVZミネラルズは、マノノ開発の当初のライセンスを付与された企業であるダスコム・マイニングの過半数株式を保有しています。しかし、同社は2023年以来、コンゴ政府と法廷闘争を繰り広げてきました。同年、コンゴ鉱業省は進捗の欠如を理由にAVZの許可を取り消し、権利を中国の紫金鉱業の子会社に再割り当てしました。
国際仲裁の介入と米国企業の動向
コンゴ政府のこの動きに対し、AVZミネラルズは国際仲裁裁判所(International Court of Arbitration)および国際投資紛争解決センター(ICSID)に提訴しました。2024年1月、ICSIDは、コンゴに対しダスコム・マイニングを正当なライセンス保有者として認識し、仲裁プロセス全体を通じてAVZの権利を保護するよう暫定命令を出しました。今年5月、KoBoldはDRCと契約を結び、AVZミネラルズのマノノにおける株式を買い取ると発表しました。これには、プロジェクト開発のための10億ドルの枠組みと、AVZミネラルズが請求権を放棄することへの補償が含まれていました。AVZミネラルズは、この新たなKoBoldとの合意がICSIDの命令に違反しており、国際的な法的手続きを損ない、コンゴの仲裁判断に対する尊重に懸念を抱かせると主張しています。
マノノにおけるKoBoldとの提携は、米国が世界の鉱物サプライチェーンにおける中国の優位性に対抗する取り組みを強化する中で実現しました。DRCは、すでに世界最大のコバルト生産国であり、第2位の銅供給国です。加えて、リチウムやタンタルといった主要な埋蔵量を保有しており、米国の戦略的焦点となっています。米国政府は、コンゴの鉱業へのコミットメントを強化する姿勢を示しています。元特殊部隊メンバーが運営する企業を含む米国関連グループは、DRCの主要な銅・コバルト生産者であるChemaf Resourcesの買収における最有力候補となっています。カリフォルニアを拠点とするAIを活用した重要鉱物探査スタートアップであるKoBoldのコンゴでの取引は、同社にとってアフリカへの2度目の大きな進出となります。KoBoldは最近、DRCで過去100年近くで最大の銅鉱床を発見しました。同社はすでに世界中で約60のプロジェクトを運営しています。
金属フォーカス 編集部コメント
今回のマノノ・リチウムプロジェクトを巡る国際的な紛争は、重要鉱物資源の確保がいかに複雑かつ多層的な課題であるかを浮き彫りにしています。地政学的要因と国際法が絡み合う中、グローバルサプライチェーンの安定化に向けた各国の動向に引き続き注目が必要です。