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Kinterra Capital Antler copper project |
オーストラリアの銅開発企業である**ニュー・ワールド・リソーシズ(ASX: NWC)**の買収を巡る数か月にわたる争奪戦は、終結に近づいています。カナダのプライベート・エクイティ企業であるキンテラ・キャピタルが、セントラル・アジア・メタルズ(LON: CAML)を上回る改善提案を提示したためです。キンテラは7月18日、クリティカル・マテリアルズ&インフラストラクチャー・オポチュニティーズ・ファンドIIを通じて、1株あたり0.066豪ドルの修正買収提案を行いました。キンテラのニュー・ワールドにおける持分が7月24日取引終了までに30%を超えた場合、価格は1株あたり0.067豪ドルに上昇します。キンテラは現在、ニュー・ワールドの約19.99%を保有しています。
ニュー・ワールドの取締役会は、キンテラからの無条件の提案を評価しました。その結果、セントラル・アジア・メタルズの最新の1株あたり0.065豪ドルの提案と比較して、「より優れた提案につながることが合理的に期待される」と判断しました。これを受け、ニュー・ワールドはセントラル・アジア・メタルズに対し、7月24日までの5営業日以内にキンテラの提案に合致するよう求めました。セントラル・アジア・メタルズは7月22日、キンテラの提案に合致しない旨を伝えました。その結果、ニュー・ワールドの取締役会は、セントラル・アジア・メタルズの提案に対する以前の推奨を撤回しました。そして、株主に対し、キンテラの提案を「遅滞なく」受け入れるよう満場一致で推奨しています。これにより、株主は7月24日の期限前に1株あたり0.067豪ドルの増額された対価を受け取ることが可能になります。
キンテラの狙いは米国アンテラー銅プロジェクト
セントラル・アジア・メタルズの入札プロセスからの撤退は、キンテラがニュー・ワールドの潜在的な新たな所有者となる道を開きました。キンテラは、米国で未開発の最高品位の銅資産の1つとされるアリゾナ州のアンテラー銅プロジェクトを重要視しています。ユッカの東15kmに位置するアンテラー鉱区は、銅換算で品位4.1%、1,140万トンの資源量を誇る高品位多金属鉱床を有しています。この資源量は2024年のプレフィージビリティ・スタディの基礎となり、12年間の鉱山寿命で341,100トンの銅換算生産量を計画しています。プロジェクトの税引後純現在価値(割引率7%)は4億9,800万ドルと推定され、内部収益率30.3%、回収期間3.3年を見込んでいます。また、アンテラーから南東約75kmには、ニュー・ワールドが探査段階のジャベリン・プロジェクトも保有しています。このプロジェクトは、アンテラー鉱床と同様の時代と様式の高品位火山性塊状硫化物鉱床に関連する一連の鉱業権を連続して有しています。これらの銅資産は、セントラル・アジア・メタルズが5月にニュー・ワールドの買収提案を初めて行った際に注目を集めました。同じ月に、アンテラーはFAST-41フレームワークの下で「透明性プロジェクト」に指定されました。これは、米国における重要鉱物サプライチェーンに対するその戦略的重要性を強調するものです。
金属フォーカス 編集部コメント
今回のニュー・ワールド買収劇は、世界の銅資産に対する投資家の強い関心を明確に示しています。特に、米国における高品質かつ開発可能な銅プロジェクトの希少性は、今回の争奪戦の激しさの背景にあります。重要鉱物の安定供給確保が世界的な課題となる中、今後も同様のM&Aが活発化するでしょう。