Alcoa、ブラジル拠点増産でアルミニウム生産量増加も原料部門は減産

Alcoa aluminum


Alcoa、ブラジル拠点増産でアルミニウム生産量増加も原料部門は減産

米国の主要金属生産者であるAlcoaは、2025年4月から6月期のアルミニウム生産量を前年同期比で5.3%増加させ、57万2,000トンを達成しました。この成果は、スペインのサン・シプリアン製錬所の長期閉鎖という課題にもかかわらず達成されました。特筆すべきは、ブラジルにある年産44万7,000トンのAlumar製錬所の継続的な立ち上げがこの増産に大きく貢献した点です。Alcoaはオーストラリアの生産者South32と共同で、9年間の生産停止を経て2024年にこの製錬所を再稼働させました。


バauxiteおよびアルミナ生産量の減少と出荷戦略

一方で、Alcoaのバauxiteアルミナの生産量は減少しました。バauxiteは前年同期比2.1%減の930万トン、アルミナは7.4%減の240万トンとなりました。この減少は、2024年後半に閉鎖された年産220万トンのクウィナナ・アルミナ精錬所の影響を大きく受けています。同社は2025年のアルミナ生産量ガイダンスを950万〜970万トンで維持しており、これは4月時点の予測と変わりません。Alcoaは、既存の出荷義務を果たすため、クウィナナの生産不足を補うべく、第三者からの調達を強化する方針です。


世界市場における関税圧力と出荷ガイダンスの調整

Alcoaは、他の多くのグローバルアルミニウム生産者と同様に、2025年4月から6月期に関税圧力に直面しました。同社はカナダで生産された一部のアルミニウムを米国市場以外に転用したと投資家に説明しています。これにより、Alcoaは7月から9月期に関税により9,000万ドルの費用が発生すると予測しています。サン・シプリアン製錬所の稼働停止を受け、同社は2025年のアルミニウム出荷量ガイダンスを4月の260万〜280万トンから250万〜260万トンへと下方修正しました。


金属フォーカス 編集部コメント

Alcoaの最新動向は、グローバルなアルミニウム市場が抱える複雑な課題を明確に示しています。戦略的な拠点再稼働と増産は収益に寄与する一方で、原料部門の課題と地政学的な関税圧力が今後の事業展開に影響を与えるでしょう。特に、エネルギー価格の変動やサプライチェーンの再編は、Alcoaだけでなく業界全体の競争力に大きな波及効果をもたらす可能性を秘めています。


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