ブラジルの鋼材輸入割当、わずか2週間で60%消化:需要の強さと市場への影響

Brazil Steel import quota system


ブラジルが導入した鋼材輸入割当制度において、賦課金導入後わずか15日間で対象品目の60%が消化されました。特に亜鉛アルミニウムめっき鋼板(GL)や溶融亜鉛めっき鋼板(HDG)といっためっき鋼板の割当消化が速く、需要の堅調さと輸入業者の駆け込み需要が浮き彫りになっています。この急速な消費ペースは、ブラジルの鋼材市場における動向を明確に示唆します。


めっき鋼板の割当消化が加速:市場の反応と課題

ブラジルの割当システムは17の鋼材製品を対象とし、これらは25%の関税が適用されます。このうち3品目はめっき鋼板です。合計約30万トンが9-10%の低関税率で輸入可能ですが、これを超える量には25%の高い関税が課されます。特にGLは4ヶ月間の割当量の64%が7月9日までに消費され、HDGも144,286トン枠の56%に達しました。

この速い割当消化率は、ブラジル国内の堅調な需要を示しています。輸入業者は上限に達する前に出荷を前倒しで進めました。しかし、これにより一部の小規模輸入業者は、割当がリセットされる10月まで25%の追加関税を支払う必要が生じています。


関税措置の背景と今後の展望

ブラジル政府は、2024年6月にセーフガード措置を初めて導入しましたが、輸入量の増加を抑制する効果は限定的でした。業界団体のInstituto Acoによると、2024年の輸入量は過去最高の590万トンに達しました。政府は2026年5月まで関税措置を延長し、政策の今後を評価する予定です。

加えて、ブラジル政府は熱延鋼板、冷延鋼板、そしてめっき鋼板を含む鋼材の輸入に対するアンチダンピング調査も進めています。これらの調査は完了までに少なくともあと6ヶ月を要する見込みであり、現時点では暫定的な関税は課されていません。この一連の措置は、ブラジル政府が国内産業保護と国際貿易ルールの遵守の間でバランスを取ろうとする姿勢を示しています。


金属フォーカス 編集部コメント

ブラジルの鋼材輸入割当の急速な消化は、国内需要の堅調さを反映していますが、同時に高関税によるコスト増と供給網の混乱という課題も浮上させています。特にめっき鋼板のような特定製品の急速な消費は、建設や自動車など関連産業への影響が懸念されます。ブラジル政府の保護主義的政策が、世界の鋼材市場の需給バランスと価格形成に与える中長期的な影響を注視する必要があります。


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