トランプ政権の銅関税50%が米市場に衝撃:輸入激減と需要冷え込みの実態

Copper Tariffs


ドナルド・トランプ大統領による米国への銅輸入関税50%の発表は、世界の銅市場に大きな波紋を広げています。発効まで数週間となった今、テキサス州からニュージャージー州に至るまで、この金属に対する需要が既に冷え込む兆しを見せています。米国の金属流通業者は輸入量を大幅に削減し、既存の注文もキャンセルする動きが顕著です。


高率関税が供給網に及ぼす影響

RM-Metalsのバイスプレジデントであるサム・デサイ氏は、関税が予想以上に高率であったため、同社の銅輸入量を直ちに約25%削減したと述べています。顧客が高額な関税負担を嫌うため、輸入された銅製品が在庫として滞留する可能性が高いと指摘します。これは、トランプ政権が提案する高率の銅関税が、建設や製造業で使用される金属の需要を蝕み、産業サプライチェーン全体に浸透しつつある初期の兆候と言えるでしょう。


市場価格の歪みと不確実性

ニューヨーク先物価格は数ヶ月間、ロンドン価格に対してプレミアムで取引されており、コメックス銅価格は今年38%上昇しました。これはロンドン金属取引所での10%の上昇を大きく上回っています。この価格の歪みは経済全体に深刻な影響を与えます。さらに、関税の対象製品や免除、執行方法に関する詳細が不明確である点が、市場に大きな不確実性をもたらしています。Aviva Metalsの購買マネージャーであるロジャー・ダイネス氏は、銅、真鍮、青銅など、どの製品が影響を受けるのか定義されていないため、ビジネス上の意思決定が困難であると強調します。


国内供給網強化と今後の課題

銅は高い導電性を持つため、電力インフラにおいて極めて重要な金属です。エネルギー転換やデータセンターの急増において不可欠な役割を担います。トランプ政権の関税計画は、より強固な国内供給網の発展を支援することを目的としています。現在、米国内では在庫が潤沢であり、これは製造業者にとって一時的な緩衝材を提供し、国内の銅産業が生産を拡大する時間を与えています。

しかし、米国内産業への投資がどれほど迅速かつ大規模に進むかは不明です。一部の専門家は、その間にインフレが加速し、米国が関税の撤回を余儀なくされる可能性を懸念しています。RM-Metalsのデサイ氏によると、顧客は関税率が将来的に変動する可能性を最も懸念しており、先行き不透明感から新規発注に慎重な姿勢を見せています。


金属フォーカス 編集部コメント

トランプ政権の銅関税50%は、グローバルな金属サプライチェーンに甚大な影響を与えています。この高率関税は短期的には市場の混乱と需要の冷え込みを引き起こし、長期的には米国内の銅産業の再編を促す可能性があります。しかし、その実現には多大な投資と時間がかかり、インフレ圧力や国際的な貿易摩擦のリスクも高まります。今後の政策の明確化と市場の反応を注視していく必要があるでしょう。

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