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国防総省の支援を背景に、戦略金属コンプレックス建設を加速
カナダのUcore Rare Metals社は、戦略金属分離施設(SMC)建設資金として最大1,000万ドルを調達する。
本資金は、カナダ・キングストンの商業化・実証施設で進行中のRapidSX™分離技術の拡張と、米国ルイジアナ州での商業化計画を支える。
ブローカードLIFE方式で1,000万ドル調達、DoD契約と合わせ3,070万カナダドルへ
今回の調達は、1ユニットあたり1.20ドルでの新株・ワラント組合せによるブローカードLIFE方式で行われる。
1ユニットには普通株1株と、新株購入ワラントの半分が含まれ、ワラントは36か月間、1.75ドルでの転換を可能とする。さらに、最大125万ユニットを追加販売するオプションにより、調達総額は最大1,150万ドルとなる見通しだ。
この増資は、2025年5月に発表された米国国防総省との1,840万ドル規模の契約に続くものだ。
同契約により、Ucoreの既存のOTA(Other Transaction Agreement)による総資金は2,240万米ドル(約3,070万カナダドル)に達した。
RapidSX技術で米国内サプライチェーン構築、2026年後半に初期生産へ
Ucoreは、次世代レアアース分離技術「RapidSX」を活用し、重希土類と軽希土類の選別を実証規模で進めている。
米国防総省およびカナダ天然資源省の支援の下、ルイジアナ州アレクサンドリアにある8万800平方フィートのSMCにて、商業スケールのRapidSX機1基と周辺インフラを建設する計画だ。
今後の工程では、RapidSX分離カラムの設計・エンジニアリング、SMCの許認可申請、初期生産能力の達成が含まれる。
また、資金の一部は、レアアース供給源となる原料調達契約と、販売先とのオフテイク契約締結にも充てられる。
金属フォーカス編集部の視点:
Ucoreの動きは、レアアース供給網の中国依存からの脱却を狙う米国の国家戦略と合致する。RapidSX技術が商業化に成功すれば、価格競争力と環境負荷の両面で既存プロセスに対する優位性が期待される。一方、分離技術のスケールアップや顧客との本格契約には、依然として不確実性が残る。政策支援と民間投資の継続が成否を左右する重要局面に入った。
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