探鉱支出が急減、AMECが制度改革を提言 — 豪州資源業界に試練の時期

AMEC

豪州全土で探鉱活動が縮小、グリーンフィールド投資に深刻な打撃

2025年3月期、オーストラリアの探鉱支出が前四半期比18.4%減少し、1億8100万豪ドルの落ち込みとなった。
この下落は前年同期比でも11.5%、金額にして1億500万豪ドルの減少に相当する。これは鉱物・石油探鉱の両部門における全国的な落ち込みを反映している。

西豪州・北部準州で大幅減、ニッケル・銅に影響

豪州探鉱の中心地である西オーストラリア州では、探鉱支出が5億3,060万豪ドルと、2023年9月のピークである7億1,500万豪ドルから19.5%の減少を記録した。
とりわけニッケルと銅の探鉱活動が著しく縮小しており、金属需要の先行指標としても注目される動きだ。

一方、北部準州では探鉱支出が2,250万豪ドルと、2017年6月以来の最低水準を記録した。グリーンフィールド投資は前四半期比49%、前年比54%と、急激に冷え込んでいる。

AMECが制度改革を強く要求、「再生エネルギーとの共存」も課題に

鉱業・探鉱企業協会(AMEC)のCEOであるウォレン・ピアス氏は、「現場ではかつてない苦境が続いている」と警鐘を鳴らす。
「探鉱への資金調達は極めて困難であり、土地利用や環境認可、再生可能エネルギー部門との共存など、制度面の壁が前例のない水準に達している」とし、抜本的な改革の必要性を訴えた。

州別ではクイーンズランド州で探鉱支出が1億470万豪ドル(前期比37%減)、南オーストラリア州が5,170万豪ドル(同35%減)と大きく落ち込んだ。
一方、ニューサウスウェールズ州とビクトリア州はそれぞれ6.1%、18.1%の増加を記録。特にビクトリア州では金と鉱砂への支出が成長の要因となっている。タスマニア州も2%増と安定傾向を示した。

金属フォーカス編集部の視点:

豪州の探鉱支出減少は、ニッケルや銅といったEV・再エネ関連金属の供給に将来的な不安をもたらす。制度改革が進まなければ、探鉱遅延が鉱石供給全体を圧迫し、脱炭素社会への移行にも影響しかねない。資本市場の冷え込みと規制障壁が長期化すれば、中小企業の淘汰も進むだろう。


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