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Robinson Inc. |
米ウィスコンシンの受託ファブリケーター、2027年に売上5億ドル企業を視野に
米ウィスコンシン州デ・ペールに本拠を置くRobinson Inc.(ロビンソン社)は、発電設備・重機・インフラ分野向けの大型金属構造物製造に対応するため、全工場レイアウトの再設計を進めている。同社は2025年版「FAB 40(北米主要ファブリケーターランキング)」で第7位にランクインした。
同社はかつて、パイプ、筐体、HVAC構成部品など6つの市場別部門に分かれていたが、現在は統合的な組織体制をとり、「生産指向の契約型製造業者」への転換を図っている。
「以前は“北米最大級のカスタムファブリケーター”として自己定義していましたが、今は発電や重機といった成長分野に特化した体制に進化しています」とCOOのサム・トーマス氏は語る。
超大型案件に対応するための全設備最適化
ロビンソン社が手掛ける案件は、トレーラーサイズの発電装置、大型スキッド、モジュラー筐体などサイズ・重量ともに巨大化が進んでいる。これに対応すべく、工場内のクレーン能力、塗装ブース、ファイバーレーザー、ベンディング機器、各種開口部(ドア)サイズを全面的に見直した。
また、2024年には粉体塗装専用工場を9万ft²から18万ft²に倍増。さらに、溶接と組立てに特化した新工場(31万ft²)も近く稼働予定で、同社全体の生産柔軟性は大きく向上する。
自動化と教育による競争力確保
今後6か月以内に切断・曲げ・溶接のほぼ全工程を自動化する計画も進行中。かつては柔軟性に課題のあった自動化システムも、現在の案件ボリュームなら対応可能と判断した。
また、2023年には従業員持株制度(ESOP)を導入し100%社員所有企業へと移行。これに合わせて、Robinson Training Academy(ロビンソン訓練アカデミー)を設立し、社内教育とキャリア形成を一体化した。
供給網の「最終ハブ」としての機能も
同社は、発電装置などの完成品を現地納品まで保管する「サプライチェーンの最終拠点」としても機能。受け取り先の準備が遅れても納期対応が可能で、顧客の信頼を得ている。
2025年6月末までの年商は2億7500万ドルを見込み、来年度には3億5000万ドル超、さらには2027年に5億ドル企業を目指す。輸送コスト削減と納期最適化のため、州外への新工場開設も検討中だ。
金属フォーカス編集部コメント
ロビンソン社の取り組みは、北米製造業における“メガ構造物対応ファブ”の模範例と言える。特にパワージェン分野での大型筐体・溶接構造物の需要増は、クリーンエネルギーやEV化の進展とともに拡大が見込まれる。一方で、今後の米中通商政策や金属関税の行方によっては、原材料供給や設備投資戦略への影響も予想される。柔軟性を重視したロビンソンの「設計思想」は、こうした不確実性の時代におけるサバイバル戦略として注目に値する。
Tags
STEEL