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最大62.3%の課税率、中国鉄鋼企業に重大な影響も
欧州委員会は2025年6月、中国産ブリキ(ティンプレート)製品に対する最終的なアンチダンピング(AD)関税の適用を正式に決定した。これは、2024年5月に欧州鉄鋼協会(Eurofer)の提訴に基づいて開始された調査の結果であり、2025年1月14日に導入された暫定関税を恒久化するものである。
今回の規制により、中国からの輸入品であれば、原産地の虚偽申告に関係なく課税対象となる。対象は鉄または非合金鋼の平圧延品でスズメッキされたもので、いわゆる「ブリキ」に該当し、関税コード(CNコード)は7210 11 00、7210 12、ex 7210 70、7210 90 40、ex 7210 90 80、7212 10、ex 7212 40に分類される。
企業別の課税率、中国輸出業者への影響を明確化
企業別のAD関税率は以下の通り:
- 宝鋼集団(Baoshan Iron & Steel Co)およびWISCO-NSティンプレート社:13.1%
- 首鋼京唐連合製鉄(Shougang Jingtang United Iron & Steel Co):46.8%
- その他の協力企業:24.6%
- その他すべての中国輸出者:62.3%
なお、商業インボイスの提示がなければ最高税率の62.3%が適用されるため、輸入者には正確な輸出者情報の管理が求められる。
これまでに徴収された暫定関税も最終的に確定され、最終税率を上回る分は還付される。また、新規中国輸出者が以下の条件を満たす場合は、「協力企業リスト」への追加も可能だ。すなわち、調査期間中に輸出していないこと、既存の対象企業と関係がないこと、そして今後EU向けに有意な契約または出荷計画があること、である。
さらに、EUの割当超過関税(above-quota tariff)との整合性も確保される。仮に割当超過関税がAD関税を上回る場合、AD関税は一時停止され、逆に下回る場合は差額分を上乗せして徴収される。
【金属フォーカス編集部コメント】
今回のAD関税は、中国産鋼材の価格優位性に対抗するEUの防衛的措置であると同時に、域内のブリキ産業保護を目的とした明確な信号とも言える。特に輸出比率の高い中国鉄鋼業界にとっては、今後の欧州市場戦略の見直しが不可避となろう。
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STEEL