豪ニューサウスウェールズ州の鉱山が完全デジタル化へ

NSW

Epiroc傘下のRCTが自動運転システム「AutoNav Lite」を導入、安全性と効率性を大幅向上

豪ニューサウスウェールズ州に位置するある鉱山が、RCT(Powered by Epiroc)製の「AutoNav Lite」システムをCAT 2900型ローダーに導入し、完全なデジタル運用体制へと移行した。従来はRCTのアナログ自動化システムを用いていたが、今回の更新により遠隔操作の効率と安全性が飛躍的に向上している。

このシステムはトヨタ・ランドクルーザー車両に搭載され、現場オペレーターがカスタマイズされたテレキャビン(遠隔操作室)から無人ローダー(LHD)を操作できる。キャビンにはデジタル対応のネットワーク管理機能が導入されており、鉱山内の遠隔エリアでも安定した接続が確保されている。

現場作業の安全性と生産性が向上

このデジタル化により、オペレーターは機械の稼働状況をリアルタイムで観察・診断できるようになった。これにより、危険区域への立ち入りが減少し、安全性が強化されたほか、稼働率向上による生産性の改善も期待される。

RCTは「今後も鉱山機械の性能とデジタル化の最適化に向け、システムを継続的に改善していく」と述べている。

豪州全体で高まる鉱山安全対策

豪政府は鉱山における労働安全対策を強化しており、2024年には168件の労働死亡事故が報告され、そのうち11件が鉱業関連であった(Safe Work Australia調べ)。2025年6月6日時点でも、すでに鉱業で1件の死亡事故が発生している。

ニューサウスウェールズ州では2022〜2023年にかけて767件の負傷事故が報告されており、ビクトリア州政府も現在、鉱山現場の規制順守状況を確認する包括的な安全監査を進行中だ。

金属フォーカス編集部コメント

オーストラリア鉱業界では、自動化とデジタル化による事故削減が急務となっており、AutoNav Liteのような中型LHD向けシステムは、安全と生産性を両立させるモデルケースとなる。今後、他鉱山への導入が加速すれば、省人化×安全重視の運用設計が世界的なトレンドとなる可能性もある。



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