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NH3 Clean Energy |
NH3 Clean Energyがピルバラ港湾局、Oceania Marineと低排出アンモニア燃料供給で合意
ASX上場のNH3 Clean Energy社は、ピルバラ港湾局(Pilbara Ports Authority)およびOceania Marine Energy社と共同で、西オーストラリア州ダンピア港における低排出アンモニア燃料のバンカリング事業を開発するための共同開発契約(JDA)を締結した。これは、同州からアジア諸国への鉄鉱石海上輸送の脱炭素化を目指す動きの一環だ。
NH3社によると、同港でアンモニア燃料を供給するバルクキャリアが16隻運航されるだけで、年間約60万トンのクリーンアンモニアを消費する可能性があり、これは同社のWAH2プロジェクト初期生産量の90%超に相当する。
世界最大のバルク輸出港が脱炭素の中心に
ピルバラ港湾局は2023/24年度に7億5,000万トン超のバルク貨物を取り扱った世界最大級のバルク港湾。当局のCEOサム・マクスキミング氏は「ピルバラ〜東アジア間の“グリーン・アイアン・コリドー”は、安定した需要、港湾インフラ、リスク管理の実績を持ち、海運脱炭素への大規模投資を支える条件が揃っている」と述べた。
今回のJDAは、2030年までにダンピア港のバルク液体バースでのアンモニア船対船バンカリングサービスを商業化することを目指すもので、NH3がアンモニア供給、港湾局が認可と安全管理、Oceaniaが燃料供給船を所有・運航する体制が構築される。
国際海事機関(IMO)の規制に対応
2027年からはIMOのNet Zero Frameworkにより、5,000総トン超の船舶に温室効果ガス排出の上限と価格設定が適用される予定で、これを受け2030年までに29隻のアンモニア対応バルク船の建造が計画済みだ。
本協定は、WAH2プロジェクトおよび港湾インフラ投資の最終決定(FID)を2026年末までに行うことを後押しする構成となっている。
金属フォーカス編集部コメント
鉄鉱石輸送はグローバルな海上排出量の重要因であり、豪州ピルバラからアジアへの“脱炭素航路”の形成は、資源産業のグリーンシフトを象徴する大きな転換点だ。バンカリング体制とアンモニア供給網の構築が進めば、金属サプライチェーン全体のカーボンフットプリント低減が現実味を帯びてくる。
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