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Petra Diamonds |
価格低迷長期化で在庫圧縮を優先、デビアスに続く戦略変更
アフリカを拠点とするPetra Diamonds(LSE: PDL)は、ダイヤモンド原石市場の低迷が長期化する中、定期的な入札方式を廃止し、市場動向に応じて柔軟に販売を行う方針に転換した。今後は四半期ベースでの販売報告となり、価格や需要に応じて「入札延期」や「原鉱石販売」も視野に入れるとしている。
この戦略変更は、De Beers(デビアス)による非公式な割引販売と類似する動きで、公式な値下げを避けつつ在庫圧縮を図る狙いがある。
ペトラは2024年度の第5回・第6回入札で、南アフリカの2鉱山から産出された61万3,747カラットを販売。総額5,300万ドルを売り上げ、前回(第4回)の2月入札から数量で29%増、カラット単価も4%増となった。ただし、上半期の6回累計で比較すると平均価格は16%下落しており、低グレード品の比率が高まったことが主因とされる。
2024年度の通期では、累計239万カラットを2億3,900万ドルで販売。前年同期比で約27%の減収となった。
4月と5月に予定されていた入札は、主力鉱山であるカリナン鉱山の産出品目構成が弱かったことを受け延期。一方、フィンシュ鉱山は採掘域の改善により価格上昇を実現した。今後はCC1EおよびC-Cut西側ブロックからの高品位鉱石の増産により、製品構成の改善を見込む。
資金繰り対策として3,300万ドルの追加借入も行い、3月末時点の純負債額は2億5,800万ドルに拡大。BMOキャピタル・マーケッツのアナリスト、ラジ・レイ氏は「市場低迷と販売減少は債務再編交渉にとって逆風」と指摘する。
同社はコスト削減の一環として、2023年10月にはKoffiefontein鉱山の権益を売却、直近ではタンザニアのWilliamson鉱山を1,600万ドルで譲渡している。
市場の反応は冷ややかで、ペトラ株は報道当日に3.5%安の19.5ペンスまで下落。時価総額は約3,800万ポンド(5,100万ドル)となっている。
金属フォーカス編集部コメント
ダイヤモンド市場の構造的変化は、もはや価格調整や在庫管理だけでは対応しきれない段階に差し掛かっている。合成ダイヤモンドの台頭や中国・インドの消費低迷が続く中、鉱山会社は短期的な価格変動よりも資産再編・コスト構造改革による生存戦略を迫られている。ペトラの事例は、中小規模の鉱山会社にとって今後の標準的対応になる可能性もある。
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