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POSCO |
豪州の豊富な鉱物資源と韓国の素材技術を融合、次世代製造の拠点に
韓国のPOSCOホールディングスは、鉄鋼と電池材料の製造における脱炭素化とコスト削減を目指す研究戦略を強化している。韓国中央日報によると、同社は5月下旬、オーストラリア・西オーストラリア州パースに新たな研究施設「Australia Critical Minerals R&D Lab(豪州重要鉱物研究センター)」を設立した。
この新研究所は、鉄鋼および電池材料の製造における炭素排出削減技術や原材料コスト削減の研究、さらには希土類サプライチェーンや先端精製技術の開発に取り組む。また、高品質鉱山資産への投資可能性の調査も含まれる。
ポスコが資源採掘地域に焦点を当てた研究機関を設置するのは初めてであり、オーストラリアにおける韓国企業としても前例のない動きとなる。
ポスコホールディングスのチャン・インファ取締役会長は次のように述べた。
「本研究センターは、豪州の豊富な鉱物資源とポスコの素材技術を融合し、当社の中核事業に付加価値を与える戦略拠点となる。必要な鉱物および加工技術を確保するためのベースになる。」
この動きと歩調を合わせるかのように、オーストラリア政府は今年2月、10億豪ドル(約636億円)規模のグリーンアイアン(Green Iron)基金を発表。環境配慮型鉄鋼生産やそのサプライチェーン開発を促進する目的で、プロジェクト支援と民間投資の喚起を図っている。
編集部コメント(金属フォーカス)
ポスコの今回の動きは、資源ナショナリズムと脱炭素化の交差点に位置する戦略的布石といえる。希少鉱物の争奪戦が激化する中、上流(資源)から下流(製造)まで一貫管理する「資源垂直統合型モデル」の重要性は今後さらに高まるだろう。一方で、国際的な資源政策や環境規制の変化による地政学的リスクも無視できない。研究所設立はその一環として、将来の価格変動や供給不安へのヘッジ手段とも捉えられる。
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