米主要鉄鋼3社が鉄筋価格を一斉引き上げ、1ショートトンあたり60ドル上昇

鉄筋

需要低迷と在庫過多の中、価格反転狙う動き強まる

米国の主要鉄鋼メーカーであるスチール・ダイナミクス(Steel Dynamics)、コマーシャル・メタルズ(CMC)、およびゲルダウ・ロングスチール・ノースアメリカ(Gerdau)は、鉄筋(リバー)の新規受注分について1ショートトンあたり60ドルの値上げを一斉に発表した。さらに、20フィートバーについては追加で40ドルの値上げも加えられる。

価格改定は、スチール・ダイナミクスが6月5日(木)営業終了後の注文から適用。CMCは翌6月6日(金)からサウスカロライナ、フロリダ、テネシー、ニュージャージーの工場で実施。ゲルダウも同日営業終了後から価格改定を実施した。いずれの社も、改定前に確定し、指定期日までに出荷される注文については旧価格が適用される。

スチール・ダイナミクスは顧客向け書簡で「北米市場を常に注視しており、競争力ある価格で高品質な製品を提供する」と説明。ゲルダウも「市場状況に応じた価格調整の権利を留保する」と述べ、先行き不透明な市況に柔軟に対応する姿勢を強調した。

米国の鉄筋価格は、2025年5月に1.9%下落して765ドル/ショートトンと、年初来で7.7%高を維持しながらも2カ月ぶりに下落。スクラップ価格の変動、需要減速、在庫過剰、トランプ政権復帰による関税政策の不確実性が、鉄筋価格の圧力要因となっている。

金属フォーカス編集部コメント

今回の一斉値上げは、市況反転を狙う“防衛的値上げ”の色合いが濃い。スクラップ価格が弱含む中での値上げが市場に浸透するかどうかは、インフラ需要や建設業の動向、政策リスクの見極めが鍵となる。特にトランプ政権の通商政策再開が再び鉄鋼関税を強化すれば、国内供給優位の価格形成が再び勢いを持つ可能性がある。


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