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Trump steel tariffs |
直接打撃よりも波及効果が深刻、東南アジア経由の供給網にも影響
米国政府は2025年6月4日より、鉄鋼・アルミ製品の輸入関税を従来の25%から50%へ倍増しました。この措置により、オーストラリアの関連業界では将来的な市場アクセスや輸出の持続性に対する懸念が広がっています。
豪州から米国への鉄鋼およびアルミ製品の輸出額は、それぞれ約2億6,600万米ドルと2億6,900万米ドルであり、米国向け輸出全体の3.6%、豪州全体の輸出額の0.2%未満を占めます。金額規模は限定的ではあるものの、東アジアおよび東南アジアの製造業が米国関税により打撃を受ければ、サプライチェーンを通じた間接的な影響が豪州にも波及する可能性が高まっています。
特に豪州の鉄鉱石や石炭、工業用金属製品などの中間材の供給先がアジア経由で米国市場へ流れている現状では、サプライチェーンの変化が貿易構造全体を揺るがすリスクがあります。専門家は「関税そのものよりも波及リスクの方が大きい」と指摘しています。
また、豪州から米国に輸出している企業は約12,000社にのぼり、金融、金、食肉、ワクチンなど多岐にわたる産業に不透明感とストレスが生じているとされます。米国とのFTA(自由貿易協定)下での信頼性が問われる中、豪州企業は今後の対米戦略の再考を迫られそうです。
《金属フォーカス編集部コメント》
今回の関税強化は、直接的な数量よりも東アジア・東南アジアとの製造・供給ネットワークに対する間接的な攪乱要因として豪州の金属関連輸出業界を揺さぶる可能性が高い。特に鉄鋼・アルミ原料の対中輸出を含む広域的なバリューチェーンが米中対立の波を受けやすく、戦略的な市場分散と下流需要の再定義が今後の課題となる。
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STEEL