英国、韓国製熱延鋼板に反ダンピング調査を開始

熱延鋼板

英TRA、スパルタンUK社の訴えを受け対応 — 輸入急増で国内産業に損害の恐れ

英国の貿易救済機関(TRA: Trade Remedies Authority)は、韓国からの熱延鋼板の輸入に対し反ダンピング(AD)調査を開始した。これは英国メーカーのSpartan UK Ltdの申し立てに基づくもので、韓国製品が英国市場で不当に安価で販売され、国内産業に損害を与えていると指摘されている。

熱延鋼板は、橋梁建設、機械製造、造船などに幅広く使用される平鋼製品である。TRAの初期分析によると、韓国からの輸入量は2021年の14,000トンから2024年には40,000トン超へと急増している。

今回の調査では、輸入品が英国経済に与える影響と是正措置の必要性の有無が評価される。調査対象品は、被覆・めっきされていない幅600mm以上、厚さ4.75mm超の熱延フラット製品で、コイルおよび工具鋼は除外される。打抜き加工、表面処理、単純な切断加工された非矩形品や、クラッド材、合金鋼フラット製品も調査範囲に含まれる。

対象のHSコードは7208 5120、7208 5191、7208 5198、7208 5210、7208 5291、7208 5299、7208 9020、7208 9080、7210 9030、7225 4040、7225 4060。
調査期間は2024年4月1日から2025年3月31日までとされている。

金属フォーカス編集部コメント

英国の鉄鋼業保護政策がポスト・ブレグジットの文脈で再び動き出した象徴的な事例である。韓国製鋼板の競争力と輸入増加が価格圧力を強める一方、英国内製造業にとっては深刻な課題となっている。調査結果によってはEU離脱後の新たな貿易秩序下での保護関税発動も視野に入り、韓国側の反発や通商摩擦のリスクも浮上する。

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