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Talga Group |
バッテリーアノード戦略でVittangiプロジェクトが前進
豪タルガ・グループ(Talga Group, ASX:TLG)は、スウェーデン北部に位置するNunasvaara South天然黒鉛鉱山に関して、すべての主要許認可を正式取得したと発表した。
スウェーデン政府が環境許可およびナチュラ2000に基づく上訴を却下し、最高裁での審理を経て、プロジェクトは完全に法的承認を得た形だ。
同鉱山は、スウェーデンの港湾都市ルレオ(Luleå)にある年間19,500トン生産のアノード製造所と垂直統合された構造を持つ。
タルガはこのマイルストーンを、責任ある資源開発への長期的コミットメントの証として位置づけている。
EU戦略プロジェクトに指定、バッテリー素材供給の中核に
タルガのCEOマーティン・フィリップス氏は、「今回のスウェーデン政府の肯定的な判断により、鉱山と製錬所の両方の操業許可が出揃った」とコメント。
同社は、EUイノベーション基金から7,000万ユーロ(約124億円)の助成を受け、同プロジェクトは欧州戦略的重要プロジェクトとして指定されている。
この許認可取得により、TalgaのVittangiアノードプロジェクトは商業化段階へ移行可能となり、欧州域内での持続可能なバッテリー供給網構築が大きく前進することになる。
スウェーデン政府も支援、欧州鉱物政策の象徴に
スウェーデンのエネルギー・企業・産業大臣エバ・ブッシュ氏は、「Talga ABが生産を計画している黒鉛は、バッテリー製造と脱炭素社会への移行の鍵となる」と述べた。
また、「スウェーデンは、倫理・環境・労働の三点で世界最も持続可能な鉱業国家であり続けるべきだ」と語った。
スウェーデンはEU最大の鉄鉱石生産国であり、年間8,720万トンの鉱石を12鉱山で生産(2022年)するなど、金属資源の戦略的供給国として存在感を示す。
タルガの取り組みは、欧州内サプライチェーンの自立と中国依存の軽減にも貢献する。
金属フォーカス編集部コメント
タルガのNunasvaara South鉱山とルレオ製錬所の一体運用は、欧州バッテリー素材戦略にとって極めて重要だ。EU補助金や政府支援を背景に、グラファイト供給の域内強化が進むなか、今後は製品化・輸送体制の確立と価格競争力が次の課題となる。
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MINING