Cosmo Metals、NSW金・アンチモニー鉱帯の再発見に挑む

 Cosmo Metals

ニューイングランド造山帯南部で金・アンチモニー・銅プロジェクトを本格探査へ

オーストラリア証券取引所(ASX)上場の探鉱企業Cosmo Metals(ASX: CMO)は、ニューサウスウェールズ(NSW)州北部のニューイングランド造山帯(New England Orogen)南部において、金・アンチモニー・銅を対象としたBingara(ビンガラ)およびNundle(ナンドル)プロジェクトの探査を加速している。

Cosmoがこの地域に注目した背景には、過去の採掘実績と未開発の鉱化ポテンシャルが共存している点がある。
特に、NSW地質調査局(Geological Survey of NSW)による調査が約10年前に行われており、この地域が金・アンチモニーの高ポテンシャル地帯であることが示されていた。

未開拓の鉱化ターゲットと初の統合的アプローチ

Cosmoは、743km²に及ぶ広大なプロジェクト面積を確保。
「この規模で現代的な系統的探査が行われるのは恐らく初めて」と、CEOのイアン・プレンティス氏は語る。
  • Bingara地区(484km²)では1850~60年代に金とアンチモニーが採掘されていたが、その後の探査は途絶。
  • Nundle地区(259km²)は1849年から1940年代にかけて15万オンス以上の金を生産したとされているが、実際は過少報告の可能性もあるという。
両地区には古い坑道跡、表層鉱化、銅・銀・錫のポテンシャルも散見され、キャンプスケールの鉱床形成が期待されている。

ヒルグローブに続け、豪州最大のアンチモニー供給地へ

Cosmoが手本とするのは、同じ鉱帯に位置するLarvotto Resources(ASX: LRV)のヒルグローブ金・アンチモニープロジェクトだ。
同鉱山は、2026年の再稼働を目指しており、年平均8.5万オンスの金換算産出を予定。
DFSでは、NPVが2.8億ドル、IRRは48%(金US$2,400/oz、Sb US$25,000/t前提)とされ、スポット価格ではNPV12.69億ドル、IRR153%に跳ね上がる。

ヒルグローブは世界需要の7%を供給予定で、中国が2024年末にアンチモニー輸出を規制した影響で、同金属価格は過去最高のUS$50,000/tに達した。

豪国内外で注目集まるNSW南部鉱帯

プレンティス氏は、「NSW南部の金・アンチモニーポテンシャルは、ようやく注目され始めたばかり」と語る。
同社は初期探査ターゲットの一部が、大手企業の関心を引く可能性もあると見ており、オロジェニック型金・アンチモニー鉱床や、島弧型ポーフィリー銅金鉱床などの複合的鉱床の存在も視野に入れている。

さらにCosmoは、西豪州のKanowna金プロジェクト(ノーザン・スターのカノウナ・ベル金鉱に隣接)でも探査を進めており、ここでも構造的・地球化学的異常と既存の鉱化交差を確認済み。
今後は高優先度のドリルターゲットの確定が焦点となる。

金属フォーカス編集部コメント

CosmoのNSW戦略は、鉱山史に埋もれた鉱帯を現代技術で再評価する典型例である。資源ナショナリズムの高まりや中国の輸出統制を背景に、アンチモニーの戦略的重要性は高まっており、NSW南部が**“忘れられた鉱脈”から“戦略資源供給地”**へと変貌する可能性がある。初期成果次第では、大手との連携・買収の舞台になる可能性も否定できない。

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